KKdayグループ 日本支社 統括責任者 深井洋平氏に聞く


深井氏

旅ナカ業界のリーダーへ

グローバルの規模感強みに 日本に根付いた企業目指す

 ――改めて、KKdayとはどういう会社か伺いたい。

 「KKdayグループは、旅ナカ業界を進化させるための会社。OTAはビジネスの柱ではあるが、旅ナカ業界の事業者、ユーザーが課題とすることを、既存のプラットフォーム、ソリューション、基幹システムなどを駆使し、解決の手伝いもしている。旅ナカ業界を進化させるためには何でも行う覚悟、実行力がある」

 ――2021年を振り返って。

 「業績の数字だけを見ると厳しい年だったが、資金調達を行い、社員数は十数人から約60人に増強するなど、体制を整備した。大きく未来への飛躍の準備ができた1年だったといえる。KKdayグループは、日本市場に根付くことを目標に掲げている。従来、日本の機能はインバウンドが中心で、19年には100万人以上を送客するという実績を残してきたが、さらに日本市場に根ざすためのOTA以外の領域での活動も今後増やしていく」

 ――会社が掲げるミッションは。

 「『旅をもっと気軽に、便利に』を掲げ、二つの意味を込めている。FITで旅する人がより身近に旅に触れられるように、旅の魅力発信をすることと、旅行業に携わる人がビジネスを今以上に発展できるソリューションに気軽にアクセスできるようにすることだ」

 ――台湾発祥企業として日本市場で戦う難しさはあるか。

 「大きいのは言語の壁だ。中国語は言語圏が大きく、中国語に軸足を置くことで何カ国にもまたがり、ある意味同じような価値観を持った人に共通のUIで勝負ができる。一方、日本はグローバルOTAと比べても、UIなども日本人テイストとなっているが、これは特殊なものではない。例えばインドネシアも言語、文化が異なる。どこの国に入るにもローカライズは必須である。恐らく5年後には旅ナカ業界のリーダーは1、2社に絞られるだろう。この5年でしっかりローカライズし、グローバルの規模感を強みとしながらチャレンジしていく」

 ――現在、注力していることは。

 「業者からパートナーになること。私は、前職ではホテルの経営再建をしていたが、OTAやPMSの会社は売れた、売れないで終わる業者的な関係性を感じていた。パートナーとなるためには、商品価値や売り上げ、利益率の向上、コストダウンなど、事業者のニーズを聞き出し、時には必要なソリューションは作り上げることも必要だ。共に歩むことで必然的に業績は上がり、関係値も深くなっていくだろう。旅ナカ業界では圧倒的な150人の開発部隊を有し、この1年はあらゆる武器を磨いてきた。パートナーとなるべく最大限期待に応えていく」

 ――一方で課題は。

 「正直まだ知名度が行き渡っておらず、22年に解決する課題である。あと、事業者のITリテラシーも上げていきたい。体験市場はロングテールで中小企業が多く、ITの実活用が業界の発展を妨げるボトルネックとなっている。旅館・ホテルも10~15年前は低かったが、OTAやベンダー側がソリューションを提供し、口コミで広がっていった。事業者に必要性を伝えられていない業界の未熟さを痛感しており、利便性が高く、怖いものではないことを訴えていきたい」

 ――アクティビティジャパンをKKdayグループの傘下に入れたが。

 「アクティビティジャパンは、月間約4500万PVあるなど、国内ではトップレベルのボリュームがある。国内市場を攻めるためのプラットフォーム、5千社という事業者ネットワークを得たことは大きい」

 ――現在、体験で伸びている分野は。

 「ウインターアクティビティに関しては絶対的なニーズがある。冬には鉄板であるスキーがあるが、何回も訪れる人からは違うものが求められる。事業者は冬に楽しめるコンテンツを新たに設けることが新たなビジネスになる。多くの事業者が取り組むことで、日本全体の観光を押し上げることにもつながる」

 ――日本全国には磨いた体験を販売する場に困る自治体、DMOがある。

 「旅ナカ関連で課題があるが誰に相談したら良いか分からなければ、いったん連絡してほしい。課題に対するソリューションはここになければ他にはどこにもない。最後の駆け込み寺になれる自信はある」

 ――22年の数値目標は。

 「アクティビティジャパンは21年9月の決算で過去最高の売り上げ、初の黒字を達成した。KKdayも現在の環境下でも19年を超える取扱高は実現できると考えている。国内市場は倍増、インバウンド市場も回復後にコロナ前を倍増するポテンシャルがある」

 ――将来、会社が目指す立ち位置は。

 「本当に日本の観光業、その中でも旅ナカ業界を活性化しているのはここだよねと誰もが感じてくれる日本に根付いた企業になることだ」

ふかい・ようへい=東京大学農学部卒。大学時代に起業したメディア企業を売却した後、広告会社勤務、経営コンサルティングなどを経て、台湾最多軒数を運営するホテルチェーンGreen World HotelsCEOに就任。上場来4年連続赤字だった企業を就任1年目から黒字化し、再建する。観光業における経営およびマーケティングの知見を基に、国内外問わず業界が抱える課題解決に取り組む。2021年3月から現職。
【聞き手・長木利通】

 
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