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eSIMで人流データを取得
IoT・SIMエンジニアリングやソフトウェア開発を手がけ、自治体や企業のDXを支援するコモン・クリエーション(福岡市)は今年8月、観光客に配布するeSIMを通じて、アンケートによる属性情報と基地局測位による人流データを取得できる観光周遊データSIM「Tabimetry(タビメトリー)」の提供を開始するなど、観光業界に向けての働きかけを本格化している。
インバウンド需要の回復に伴い、全国の自治体やDMO、観光協会では、データに基づく観光施策の立案が求められている。その一方で紙やWEBのアンケートは回収率が低く単発で、携帯キャリアなどの人流データも統計化された形での提供が中心。「どのような属性の観光客が、どこをどの順に巡ったか」という施策検討に必要な粒度の情報が得られにくいのが実態だ。
さらに、「GPSを用いた専用アプリによる調査は、旅行者にインストールの負担を強いるため、十分なサンプル数の確保が困難」と社長の牟田和貴氏は語る。
今回開発したTabimetryは、観光客への無償配布に適したeSIMそのものをデータの取得口とすることで、便益を「配る仕組み」と行動を「知る仕組み」を一つにまとめた点が最大のポイント。これにより、「観光客は無料の通信という便益を受け取り、自治体やDMO、観光協会は属性と動線がひもづいた人流データを容易に取得できる。新たな商品造成などを通じた誘客にも生かせる」と牟田氏。
同社はこれまで、eSIMの発行からMVNO回線までを自社で一貫して提供するプラットフォーム「LibeSIM(ライブシム)」で、SIMアプレットによる位置情報取得技術を提供してきた。この実績で培った技術を、自治体や観光協会がそのまま導入できるパッケージとして再構成したのがTabimetryだ。
使い方も簡単。観光案内所や宿泊施設などでeSIMを観光客に無料で配布。施設側はQRコードを設置するのみで、観光客はそれを読み取って自身のスマートフォンにインストールする。面倒な物理カードの在庫管理や、窓口での受け渡し・返却は発生せず、現場の負担を軽減。観光客側も専用アプリのインストールは不要で、画面の操作だけでその場で開通できる。
属性情報は、キャンペーンごとに同社が用意する申し込みページのアンケートで取得する。設問は自由に設計でき、年代・国籍・旅の目的・滞在日数といった各種の情報を得られる。
SIMの開通後は、基地局測位により訪れたエリアと滞在時間を時系列で記録する。携帯電話基地局の情報から位置を推定するため、精度は都市部で半径250~500メートル程度のエリア単位となるが、GPSの電波が届かない地下街や地下鉄でも記録が途切れず、周遊の全体像を把握できる。「位置情報は、取得する情報や利用目的、保管期間、第三者提供の有無を申し込み時に明示し、本人の同意を得た上で取得するなど、プライバシーにも配慮した」と語る。
取得したデータは、緯度経度を含む生データ(CSV)に加え、滞在時間ランキングや周遊ルート分析、属性クロス分析など、施策の目的に合わせた分析レポートとして同社が提供する。「庁内・社内での報告にそのまま使える形式でお渡しする。勘や経験だけに頼らない観光施策づくりに役立ててほしい」と力説する。

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