【体験型観光が日本を変える462】人と関わることで人間力を 藤澤安良


 東京は36日間連続の雨を観測したが、ようやく行楽の秋らしい快晴となった。これだけ雨が続いたら、「降り止まぬ雨はない」という格言ですら疑いたくなり、観光産業には大きな痛手となった。

 ここに来て日中は真夏日で朝夕は10度前後になったりと、寒暖の差が激しくなり、体調を崩す人が増えている。インフルエンザA型も流行しているという。

 どんなに文明が発達し、医学が進歩しても、それを超越するような試練をわれわれは与えられ続けている。新型コロナが人類の発展をとどまらせた。そして地球温暖化による気象変動も対策が必要とされて久しいが、成果が出ていない。線状降水帯や大雨洪水、再び起きたネパールの土石流など、国内外で災害が後を絶たない。

 耕作放棄、人工林の放置などから来る自然環境問題もある。クマによる被害、シカやサルの食害が深刻さを増している。

 人間関係ではストーカーや、男女関係のもつれによる殺人が後を絶たない。殺人までして人生を棒に振ることはないのだが、命の尊さをしっかり学んでいないのだろう。ゲーム世代はゲームの仮想現実と実社会の境界線を見誤っている。「ぶっ殺すぞ」と、いとも簡単に口に出す。額面通りではないと思いたいが、相手に殺意の表れと取られても仕方がない。私は人に面と向かって「殺すぞ」と言ったこともなければ思ったこともない。そんな人間が社会で相手にしているのは人間ではなく、AIだったりコンピューターだったりなのである。

 省力化ができ、とても便利な道具やシステムに、今、困惑されている。多くの大手企業の顧客管理システムからこの9~10月、数千万件の個人情報が漏えいしたというのである。見知った旅行業者からも漏えいした。政府の省庁や受け取る予定がない宅配業者、買ってもいない通販業者、預金口座も持っていない銀行から覚えのないメールがたくさん届いている。既に個人情報が漏れている証拠である。

 この上、何をしたいのか。数年前から起こり続けてきたのに、対策ができていないことの問題は大きい。官民一体となって一刻も早い対策が求められる。

 そんな中、めでたいニュースがある。東京理科大学名誉教授の 合憲三氏がノーベル化学賞を受賞した。研究の中身は説明されても、にわかに理解できるようなものではないが、「うまくいかなくても失敗と捉えず、ずっと継続してきたことが重要だったと思う」と同氏。失敗を恐れず落ち込まず、研究にまい進し、継続されてきたことは、自分がノーベル平和賞を受賞すべきだと言う人がいる中で、受賞者から化学よりも人間力を学ぶべきだと感じた。

 人間力を身に付けるには、AIでもコンピューター画面でもなく、生の人間と直接会って話すことであり、あらゆる体験をすることに他ならない。文明の進化に人間が置いてきぼりにならぬよう、努力を惜しまないことだ。

 
 

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