【体験型観光が日本を変える460】AIに振り回されるな 藤澤安良


 9月28日現在、東京は33日連続の雨が降り、観測史上最長タイ記録である。さらに台風26号が沖縄付近におり秋雨前線に沿って北上する予報があり、またしばらくは雨模様だ。

 大雨は土砂崩れなど各地に甚大な被害をもたらした。千葉県はこの夏だけで3回目の大雨であり、印旛沼の堤防が決壊した映像は衝撃であった。洪水と家屋への浸水、土砂崩れにより、地域では停電や断水が続いている。いくつかの鉄道も寸断されており、復旧までは数カ月ともいわれている。普段の生活も困難な中で、シルバーウイーク、秋の行楽シーズンも観光どころではない状況が続く。

 そんな雨の中、愛知・名古屋アジア大会が開催されている。日本は人口で10倍を上回る大国の中国に次いでメダル獲得数2位と健闘している。卓球の男子団体では中国に勝ち、60年ぶりの優勝となる快挙を成し遂げた。

 そんな中国と米国が首脳会談を行った。直前には高市首相がトランプ大統領と会談する場面があった。これらの動きが世界や日本にどう影響するのか。成果は明確ではない。AIの開発について、暴走なのか進化なのか、何らかのやり取りがあったようだが、米中はAI先進国としてライバル同士なので、慎重論にはなりにくい。

 日本でもAIが作った企画書や計画書が出回っている。しかしこれらは過去のデータがベースとなっており、確実な未来予測とはならない。行動を起こす者の情熱や魂など、主観が入っていない。

 AIに任せた文章は、体裁は整っていると作った者は思うだろうが、読み手には物足りなく、心を動かされない。人を説得したり、納得させたり、面白いと言わせたりするのは、テレビや本や新聞からの情報ではなく、聞きかじりの伝聞でもなく、実体験に基づく体験談である。

 AIは海に潜らないし、川を下らない。田んぼで泥まみれにならないし、山で木を切らない。おいしいものを食べていないし、爽やかな風や空気を吸っていない。体験も旅もしていない。

 ネットを駆使し、AIを利用し、体裁を整えるだけで仕事をしたことにし、それで仕事をした気になっているのなら、それは省力化ではなく、手抜きである。AIの対案やアイデアで満足しているなら、もうその人間はAI以下である。

 人間力はAIに負けることはない。しかしオフィスでパソコンに向かっているだけの人は、何が正しいか、どれが本物かも分からず、いずれAIに振り回されることになる。

 AIを有効に使うには、人間力やコミュニケーション能力が求められる。それには社会を知ることであり、さまざまな人と会話をすることであり、あらゆる体験をすることである。体験交流を目的とした旅こそが、AIに負けない人間力を養うことになる。

 忙しいと思っている人こそ旅に出ることだ。おいしい物を産地に行って食べ、暮らすような旅をする。人間が生きる上で必要かつ、魅力のあることだ。

 
 

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