Booking.com(ブッキング・ドットコム)は8月18日、長野県野沢温泉村役場で「Traveller Review Awards 2026」の表彰式を開催した。野沢温泉村が同賞の「日本で最も居心地の良い都市」10選に7年連続で選出されたことを祝するもの。人口約3,000人の山あいの温泉村が世界の旅行者から高い評価を受け続けている背景には、「村の暮らしそのものが観光資源」という独自の哲学があった。
14回目を迎えた「Traveller Review Awards」、3億7,000万件超のクチコミが基盤
「Traveller Review Awards」は今年で14回目を迎えた。世界中の旅行者から寄せられた3億7,000万件を超えるクチコミをもとに、卓越したホスピタリティを一貫して提供している宿泊施設やレンタカー会社などのパートナーを表彰するものだ。
「日本で最も居心地の良い都市」10選は、2026年の「Traveller Review Awards」を受賞した宿泊施設の割合をもとに選出されている。対象となるには、50軒以上の宿泊施設があることが前提条件となる。
受賞条件として、宿泊施設は2025年11月30日23時59分(中央ヨーロッパ標準時)時点で3件以上のクチコミに基づく平均クチコミスコアが8.0点以上(10点満点)であることが求められる。レンタカー会社は10件以上のクチコミで同8.0点以上、タクシー会社は2,000回の乗車を完了し平均クチコミスコアが4.6点以上(5点満点)であることが条件だ。
なお、クチコミを投稿できるのは、実際にBooking.comのプラットフォームで宿泊施設を予約したり、車をレンタルしたり、タクシーに乗車したりしたユーザーのみ。クチコミが編集・調整されることはないとしている。
2026年「日本で最も居心地の良い都市」10選
2026年に選出された都市は次の通り。
- 高山市(岐阜県)
- 野沢温泉村(長野県)
- 奄美市(鹿児島県)
- 由布市(大分県)
- 屋久島(鹿児島県)
- 読谷村(沖縄県)
- 富士吉田市(山梨県)
- 北谷町(沖縄県)
- 富士河口湖町(山梨県)
- ニセコ町(北海道)
10選の中には、2026年の「世界で最も居心地の良い都市」10選にも選出された岐阜県高山市をはじめ、多くの地方都市が名を連ねた。鹿児島県の屋久島・奄美、大分県の由布市は昨年に続いて今年も選出されている。
野沢温泉村は2020年に初めて選出されて以来、7年連続の受賞となった。
「旅行者をコミュニティの一員のように迎える」、Booking.com日本代表が語る選ばれ続ける理由
表彰式にはBooking.com日本代表のルイス・ロドリゲス、野沢温泉村の上野雄大村長、野沢温泉マウンテンリゾート観光局代表理事の竹井勝氏、旅館さかや代表取締役社長の森晃氏が登壇した。
ルイス・ロドリゲス日本代表は、オーストラリアやアジア各国を中心に野沢温泉村への注目が高まっていることを紹介した上で、スキーシーズンだけでなくグリーンシーズンへの期待にも言及した。
自身の体験として、「野沢温泉村に滞在した際、ホテルの周辺を歩いていると、見知らぬご家族がバーベキューをしていて、『一緒にどうですか』と声をかけていただいたことがあります。旅行者をまるで地域コミュニティの一員のように温かく迎え入れてくれる、そんな村の人々の温かさこそが、野沢温泉村が世界の旅行者から選ばれ続ける最大の理由だと実感しています」と述べた。

村長「3,000人の村民一人ひとりが評価された賞」、観光地ではなく”村の暮らし”が強み
上野雄大村長は本受賞を「約3,000人の村民一人ひとりが評価された賞」と位置づけた。
「恵まれた自然環境への敬意、それを守り継承してきた地域の文化、そしてそれらを支える人こそが、この村の秘訣です。野沢温泉村は観光のために作られたリゾートではありません。訪れた方は村民のライフスタイルに入り込み、村の暮らしの一員になったような感覚を味わうことができます。私たちが目指すのは、単なる観光客数の増加ではなく、観光を通じて村民の暮らしが豊かになる、持続可能な地域づくりです」
目指すのは「観光客数の増加」ではなく「村民の暮らしの豊かさ」。持続可能な地域づくりを明確な目標として掲げた。

「いらっしゃいませ」ではなく 「お帰りなさい」、観光局代表理事が語る”居心地の良さ”の源泉
野沢温泉マウンテンリゾート観光局の竹井勝代表理事は、地域が一丸となって旅行者を迎える野沢温泉村ならではの強みを語った。
「野沢温泉村の宿では、お客様を『いらっしゃいませ』ではなく『お帰りなさい』とお迎えするのが定番です。まるで我が家に帰ってきたかのように過ごしていただくという精神こそが、旅行者の皆様に『居心地の良さ』を感じていただけている理由だと考えています。今回の受賞を一過性の評価に終わらせることなく、この村の文化を次の世代へつないでまいります」
一過性の評価に終わらせず、文化を次世代へ継承する姿勢を強調した。

旅館代表「アウトスタンディングな魅力を伝える」、13の共同浴場が象徴する”借りる”という感覚
旅館さかやの森晃代表取締役社長は、2006年からいち早くインバウンド誘致活動に取り組んできた経験をもとに、野沢温泉村の情報発信の考え方を語った。
「海外プロモーションにおいては、パウダースノーや温泉といった、他の地域と同じ魅力を伝えるのではなく、『アウトスタンディング』な魅力を伝えることが重要です。例えば、村に13ある共同浴場(外湯)は、村民が守り継いできたお湯を旅行者が『借りる』という独自の感覚があります。この土地の暮らしに触れる体験こそが、旅行者の心に残る深い体験を生み出しているのです」
村に13か所ある共同浴場(外湯)は、単なる温泉施設ではない。村民が代々守り継いできたお湯を旅行者が「借りる」という感覚に、この村の観光哲学が凝縮されている。

「ゴールデンルート」から地方へ、旅行者の関心が多様化
近年、世界的な日本人気の高まりとともに、旅行者の関心は東京・大阪・京都といったいわゆる「ゴールデンルート」だけでなく、その土地ならではの暮らしや文化に触れられる地方エリアへと広がっている。今回選出された都市にも、地方の温泉地や自然豊かな地域が多く含まれており、国内外の旅行者の間で本物の体験や地域との出会いを求める旅行スタイルへの関心が高まっていることがうかがえる。
人口約3,000人の山あいの温泉村が7年連続で選出されたことは、こうした「地域の日常に入り込む旅」への世界的な潮流を象徴するものといえる。





