【口福のおすそわけ618】ソウルでタッカンマリ! 竹内美樹


竹内氏

 先日、ソウルに出かけてきた。今回の旅では絶対に食べたいモノがいくつかあったのだが、その一つが「タッカンマリ」。新大久保に行けば本場さながらのタッカンマリがいただけるし、今やタッカンマリの素も売っているので、家でも食べられる。だが、やっぱり現地の名店でハフハフと鶏にかぶりつきたい。

 改めてご説明すると、タッカンマリとは、韓国語で「タッ」は鶏、「ハンマリ」は1羽を表すことから、直訳すると「鶏1羽」となり、文字通り丸鶏が1羽入った豪快な鍋料理。韓国版水炊きとも言えよう。「参(サム)鶏(ゲ)湯(タン)」にも鶏が丸1羽入っているが、こちらは生後数十日の小ぶりな若鶏のお腹に、もち米や高麗人参、ナツメなどを詰めて長時間煮込んだ薬膳料理という違いが。

 タッカンマリの起源は諸説あるが、1960~70年代にソウル特別市東(トン)大(デ)門(ムン)区周辺で誕生したという説が有力。それまで鶏肉は高価だったが、養鶏産業が急速に発展し、安価に入手できるようになったとか。その鶏を骨まで無駄にせず丸ごと使い、ジャガイモでボリュームを出すという、東大門市場に集まる労働者向けの庶民的な食べ物だったが、次第に路地裏名物料理として脚光を浴びるようになったという。

 今もタッカンマリ専門店が集まる通称「タッカンマリ横丁」には、1970年代に創業した店も多く、観光スポットとなっている。

 中でも人気なのが「陳(チン)玉(オッ)華(クァ)ハルメ元祖タッカンマリ」。以前行った頃より長蛇の列ができていると知り、開店時間の10時半少し前に訪れたので、1巡目で入店。

 6人で2鍋注文。ジャガイモとトック(白い棒状の韓国餅)はスープを吸っておいしくなるので、追加必須。そしてシメの麺もモチロン追加。ここで注意が必要なのは、麺の注文は1回限りということ。麺を入れるとデンプンの影響でスープにとろみが出て味が変わってしまうからだそう。最初に何人前注文するか、検討しておく必要がある。

 注文すると、すぐに鍋が運ばれてくる。下ゆでされた丸鶏がドン!と入っており、真ん中辺りに切れ目が入って、そこにジャガイモが挟まれている。あとはネギが浮かんでいるだけという、とてもシンプルな料理だ。スタッフがハサミで鶏を切り分けてくれて、15分ほど待つようにと言われ、その間にタレを作る。テーブルにはしょうゆ・からし・酢と特製薬味「タテギ」が置かれており、コレを自分好みに混ぜるのだ。タテギとは、唐辛子やコチュジャン、ニンニク、ごま油などを合わせた韓国のうま辛万能調味料。店によって味わいが異なるため、同店の人気のヒミツと言えそうだ。

 セルフサービスで食べ放題のキムチをドッサリ鍋に入れているテーブルもあるが、せっかくの鶏のだしの味が変わってしまうので、筆者は入れない。プルプルで軟らかな鶏肉をタレにつけて食せば、超ベリウマ! だしがシミシミのジャガイモも絶品♪ シメの麺クッスサリで、スープまで堪能した。あぁ口福!

 ※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。

 
 

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