一般財団法人運輸総合研究所(会長:宿利正史、所在地:東京都港区)は8月20日、米国航空産業の需給状況および米国主要空港におけるゲート割り当てに関する調査結果を発表すると明らかにした。
成果は2026年9月29日(火)にオンラインで開催する「第166回運輸政策コロキウム~ワシントン・レポートXXIII~」で報告・議論する。参加は無料。
2つの調査テーマ、いずれも日本への示唆を意識
今回の調査は2本立て。第1部では「アメリカ航空産業の現状と今後の展望」をテーマに、米国の航空市場がパンデミック後の堅調な回復を継続する一方で生じている環境変化を分析する。
運輸総研は調査結果の発表にあたり、「米国の航空市場は、パンデミック後の堅調な回復を継続する一方、スピリット航空の経営破綻をはじめ、その環境には変化が生じています」と説明している。
スピリット航空の経営破綻は、米国の格安航空会社(LCC)市場における競争構造の変化を象徴する出来事として位置づけられており、2025年の市場概況とともに、2024年からの継続性・変化に関する分析が今回の調査の柱となる。
第2部では「米国主要空港における適切なゲート割り当てのあり方について」を取り上げる。空港でのゲート割り当ては、航空会社間の適切な競争を確保する上で重要な要素と認識されており、連邦当局による規制の背景や過去の経緯、米国における空港運営の特徴を踏まえながら、現時点の各空港での傾向を整理。それに伴う航空会社間の競争への影響や課題について考察する。
運輸総研は「空港でのゲート割り当てが重要と認識されており、その現状や課題を理解することは、日本が今後の航空市場のあり方を検討する際に重要な示唆となります」としている。
米国ワシントンの研究拠点が定点観測
調査を実施したのは、運輸総研の海外拠点である「運輸総合研究所ワシントン国際問題研究所(JITTI USA)」だ。
JITTI USAは1991年2月、米国・ワシントンD.C.に設立。米国の最新動向調査や日本の政策紹介に加え、日米政府要人や有識者を招いたシンポジウムの開催などを通じて、日米両国の官民関係者間の連携強化、情報共有と相互理解の増進に取り組んできた。
航空産業の需給状況等に関する調査は、毎年定点観測的に実施しているものであり、継続性のある分析として蓄積されてきた。
現在JITTI USAのスタッフは11名(2026年7月1日現在)。北米を含む広範な地域を対象に、最新の交通運輸・観光に関する研究調査、諸外国との連携強化に取り組んでいる。
登壇者の顔ぶれ
コロキウムの登壇者は以下のとおり。
開会挨拶は佐々木良・運輸総合研究所専務理事兼ワシントン国際問題研究所長・アセアン・インド地域事務所長が行う。
第1部の発表者は、ワシントン国際問題研究所次長・主任研究員の山下庸介氏。2011年に国土交通省へ入省し、社会資本整備、住宅・不動産、PPP/PFI、高速鉄道の海外展開、外航海運、経済安全保障政策等に関する業務に従事してきた。2025年7月より運輸総合研究所ワシントン国際問題研究所へ出向し、2026年7月より現職。専門は航空、海事及び経済安全保障。2011年早稲田大学政治経済学部卒、2016年シカゴ大学公共政策大学院修了(公共政策学修士)、2025年にはジョンズホプキンス大学高等国際問題研究大学院ライシャワーセンター客員研究員を務めた経歴を持つ。
第2部の発表者は、ワシントン国際問題研究所研究員の中村由季子氏。2008年に成田国際空港株式会社へ入社。旅客ターミナルビルの運営管理、着陸料等の空港使用料の料金政策や徴収管理、空港利用者向けアプリの企画・開発、LCCの利用促進、国際事業、グループ経営業務等に従事してきた。2024年10月より運輸総合研究所ワシントン国際問題研究所へ出向し、米国を中心とした航空・空港分野における政策や最新動向についての調査研究に携わっている。2008年東京外国語大学外国語学部卒。
コメンテーターには、慶應義塾大学商学部教授の加藤一誠氏が参加し、航空・空港分野に係る課題や今後の見通し等について議論を深める。加藤氏は1964年生まれ。1987年同志社大学経済学部卒業、1992年同志社大学大学院経済学研究科博士課程退学、2002年博士(経済学)取得。関西外国語大学、日本大学を経て2015年より現職。日本交通学会副会長、国土交通省交通政策審議会委員(観光分科会長・航空分科会・陸上交通分科会所属)、航空政策研究会会長等を務める。交通経済・アメリカ経済を専門とし、近著に『アメリカ分断の現代史』(蒼天社出版、近刊)、共編著『航空・空港政策の展望』(中央経済社、2021年)がある。
Q&A・総括・閉会挨拶のコーディネーターは、運輸総合研究所所長の屋井鉄雄氏が務める。
開催概要
第166回運輸政策コロキウム~ワシントン・レポートXXIII~
「アメリカ航空産業の現状と今後の展望/米国主要空港における適切なゲート割り当てのあり方について」
- 日時:2026年9月29日(火)10:00〜12:00
- 開催方法:オンライン配信(Zoomウェビナー)
- 主催:一般財団法人運輸総合研究所
- 参加費:無料
- 申込URL:https://krs.bz/jterc/m/collo260929(開催直前まで受け付け)
- 最新情報:https://www.jttri.or.jp/events/2026/collo260929.html
プログラムの内容は変更となる場合があり、最新情報は運輸総研のホームページで案内される。
運輸総合研究所について
運輸総合研究所は、旧運輸省(現国土交通省)のイニシアティブにより、日本の産官学の支援を受けて1968年に設立されたシンクタンク。交通運輸及び観光分野における様々な研究調査活動や政策提言を行っている。
「学術研究と実務的要請の橋渡し」という設立の理念に立脚し、「世の中の役に立つ」、「使いものになる」研究調査や政策提言を行い、課題解決に資することを目標としている。
所在地は東京都港区虎ノ門3丁目18番19号 UD神谷町ビル。代表理事・会長は宿利正史氏、理事長は和田浩一氏、所長は屋井鉄雄氏。職員数は国内(本部)77名、ワシントン国際問題研究所11名、アセアン・インド地域事務所8名(2026年7月1日現在)。運輸総合研究所は日本財団の助成を受けて活動している。
沿革は、1968年10月の財団法人運輸経済研究センター設立にはじまり、1991年2月にワシントンD.C.へ「ワシントン事務所」(現ワシントン国際問題研究所)を設置。1998年4月に財団法人運輸政策研究機構に改称、2012年4月に一般財団法人へ移行、2016年6月に現名称に改称。2021年4月にはタイ・バンコクに「アセアン・インド地域事務所」を設置した。




