栩野氏
体験旅行で「子どもの貧困」解消へ
「会社は社会の公器であり、事業を通じて社会に貢献するもの」。私たちはこの考えを、さまざまな活動の原点に置いています。
企業が利益を生み出すことはもちろん重要ですが、それは社会に必要とされる価値を提供した結果です。企業が事業を通じて社会に貢献することは、特別な活動ではなく、本来果たすべき役割であると考えています。
旅行業は、社会貢献を実践しやすい事業の一つではないでしょうか。旅行は人を目的地へ運ぶだけではありません。地域の文化や歴史、人との出会い、新しい価値観との触れ合いを提供し、人の人生に前向きな変化をもたらす力があります。旅先での体験が、その後の生き方や考え方を変えることは決して珍しくありません。
その思いを形にしたのが、弊社が日本ユネスコ協会連盟と取り組む「沖縄体験旅行」です。この取り組みでは、相対的貧困やさまざまな困難を抱える全国の子どもたち50人以上を沖縄へお招きし、2泊3日の体験プログラムを実施しています。平和学習や自然体験、地域で活動する方々との交流を通じて、自分の可能性や未来に希望を持つきっかけを届ける。それが、この旅行の目的です。
プログラムを支えてくださるのは、日本ユネスコ協会連盟に加え、子どもの居場所づくりに取り組む団体、平和教育の実践者、環境保全活動を続ける市民団体、高校生ガイドなど、沖縄でこの地域課題に向き合う多くの皆さまです。旅行会社だけでは、このような価値は生み出せません。地域とともにつくる旅行だからこそ、人の心を動かす体験になるのだと思います。
沖縄は、子どもの貧困という大きな社会課題(全国の2倍)を抱えています。その一方で、多くの市民活動や企業、行政が力を合わせ、課題解決に取り組んできた地域でもあります。私たちは、その経験やネットワークを旅行という形で全国の子どもたちへ届けることに、大きな意義があると考えています。
このたび、この取り組みが、第4回「JATA SDGsアワード」で大賞を受賞しました。大変光栄なことですが、私たちは「旅行には社会課題の解決に貢献できる力がある」という点が評価されたことを、何よりうれしく感じています。
企業は社会の公器です。その使命を果たす方法は業種によって異なりますが、旅行会社には「旅」という事業そのものを通じて社会へ貢献できる強みがあります。これからも、その力を信じ、一人でも多くの人の未来につながる旅行を創り続けていきたいと思います。

栩野氏




