今や訪日外国人客は東京や京都、大阪ばかりでなく地方都市にも訪れている。ただ、依然として大都市集中が著しく、京都などではオーバーツーリズムが深刻な問題となっている。地方分散は喫緊の課題であると思っていたら、この問題は日本だけではないことがわかった。
このほど韓国観光公社が打ち出した訪韓日本人客の増加戦略で、そのことが実感できた。同公社では、日本旅行業協会(JATA)との共同事業で、今年は韓国小都市30選のキャンペーンを展開する。ソウルや釜山以外の地方都市の魅力を味わってもらい、地方分散を図る狙いだ。韓国の地方空港を拠点とし、そこから地方都市ならではの歴史や文化、暮らしを知ってもらいたいとアピールする。こうしたキャンペーンは今年が初めてではない。2023年はグルメ30選、25年は絶景30選を打ち出している。
大都市では味わえない魅力にあふれ、アクセスがよく、韓国国民にも人気の地方で、韓流ドラマのロケ地やお祭り、郷土料理などを紹介している。
観光客の地方分散は、中国でも課題の一つであるらしく、昨年、都内で中国政府の観光関係者と会った際、北京や上海以外の地方の観光を強化したいと語っていた。
前述したように日本国内の地方の観光地に行くと、まだまだ外国人対応が手薄なケースも多い。それは韓国でも同じ。ソウルを離れると、博物館や美術館、観光施設などの案内ではハングルが多く、たまに英語そして日本語は少ない経験をした。
中国でも同様だった。日本人に人気の観光地でも日本語表記が少なく、通訳に解説してもらうしかなかった。今春、訪れたイタリアではローマでさえ、日本語が少なかった。イタリア語、フランス語、スペイン語、そして英語の表記だった。イタリアは日本人に人気の観光地にもかかわらずだ。
訪日外国人観光客は、個人や少人数のグループで行動する。言葉の問題は、スマホの自動翻訳を使ったり、身振り手振りでコミュニケーションを図ったりして、旅を続けている。しかし、地方分散というなら受け入れ側もそれなりの対応をとって、旅が快適になるようにしてもらいたい。それは、日本人が海外旅行に行くときもお願いしたいことだ。
(日本旅行作家協会常任理事、元旅行読売出版社社長)




