温泉郷を中核に据えたブランド構築を
長野県の南端に位置する阿智村では、出湯から50年を超えた「昼神温泉郷」を中心に、観光産業の発展によって持続可能な地域をつくることを目的として、「株式会社阿智昼神観光局」を設立し、10年がたちました。
出湯50年という歴史は長いようで短く、歴史の浅さもあって、温泉郷としてのブランド力をなかなか構築できない状況がありました。
観光については、数多く点在する由緒ある歴史的な温泉郷との競争ではなく、地域を訪れること、その地域で何を見て、何を経験し、何を体験するのかという、旅本来の在り方を追求してきました。
その中で、これまでの観光誘客における定番であった「来てください」という場所・地域の企画・戦略・プロモーションから、「行ってみたい」と思われる場所・地域へと変えていくことに挑戦してきました。それが、「日本一の星空が見える地域」「日本一の星空が見える場所、阿智村」というブランディングの構築です。
「日本一の花桃の里・桃源郷」事業とあわせて、「行ってみたい」と思っていただける地域づくりを展開し、少しは全国の皆さんに知っていただける場所になったのではないかと思います。
地域ブランドがある程度確立されたいま、いよいよ温泉郷そのもののブランド構築のフェーズに入ります。
阿智村では独自財源として宿泊税を導入し、その財源を活用して展開する「温泉郷リバイバルプラン」を策定しました。リニア中央新幹線や三遠南信自動車道の開通をマイルストーンとする取り組みも始動しています。
首都圏・関西圏からの交通インフラが非常に脆弱(ぜいじゃく)であり、その不便さだけを武器にできるような”秘境”でもないこの地域を、今後どのように発展させていくのかが問われています。
自治体としての今後の持続可能性についても、人口減少に無理にあらがうのではなく、それを受け入れたうえで、観光産業の発展によって地域課題を解決できるスタイルを目指しています。
リニア中央新幹線の開業で交通インフラが劇的に変化する近い将来に向けて、インバウンドに偏重することなく世界に向けて発信し、どのようなお客さまにとっても疑問や不安の少ない阿智村・昼神温泉郷のまちづくりを進めていくことが重要です。
飯田下伊那、そして南信州の宿泊拠点としての役割を担っているという自覚と覚悟を持ち、取り組んでいかなければならないと思っています。

白澤氏




