【接遇介助士ホスピタントの教科書 9】接遇介助士ホスピタントが目指す社会とは(2)大谷晃


 接遇介助士ホスピタントが目指す社会は、「分け隔てないおもてなし」ができる社会です。

 想像してみましょう。もしも、お客さまから普段と違うリクエストを急に言われたら、あなたならどんな行動ができるでしょうか。自分の仕事を思い浮かべ、考えてみてください。

 あなたがどんなにベテランであったとしても、一瞬、慌ててしまうのではないでしょうか。急に、経験のない(=知らない)リクエストを受けたら、断ってしまうかもしれません。対応するために、時間がかかってしまうかもしれません。

 それは、ある意味仕方のないことだと思います。

 知識もなくて、経験のないリクエストに対しては、お客さまの安全を守るうえでも、「断る」という判断をすることも、ときには正しいと思います。一方で、「なんとかして、リクエストをかなえてあげよう」と、夢中になって取り組む姿もすばらしいことだと思います。

 ただ、考えてほしいのは、お客さまの気持ちです。スタッフが迷ったり、バタバタとしている様子を見ているお客さまの気持ちです。

 スタッフが慌てる様子を目にしたお客さまは、「来なければ良かった」と思うかもしれません。自分がいることで、「他人に迷惑をかけてしまう」と思ってしまうかもしれません。

 そのお客さまは、もしかすると、

 旅行に行くことが、

 食事に行くことが、

 外出することが、

 人と会うことが、

 人に話しかけることが、

 怖くなってしまうかもしれません。

 本来、

 お客さまの笑顔を一つでも増やすこと

 お客さまの不安を一つでも多く取り除くこと

 お客さまが安全・安心して過ごせる環境を整えること

 思い出に残る時間と空間を提供すること

 が使命です。

 「スタッフが慌てる様子を目にして、迷惑をかけるのではないかと不安になり、行ってみたかった場所に行けなくなってしまう」。そのような社会になってしまうことを、防がなくてはいけません。

 そのためには、正しい知識と技術が必要なのです。完璧じゃなくても良い。お客さまが笑顔になってくれる接客・接遇を目指しましょう。

 *    *

 ■日本ホテルレストラン経営研究所=ホスピタリティ業界(旅館、ホテル、レストラン、ブライダル、観光、介護)の人材育成と国際交流へ貢献することを目的とするNPO法人。同研究所の大谷晃理事長、鈴木はるみ上席研究員が監修する書籍「~ホスピタリティの先にあるもの~接遇介助士ホスピタントの教科書」が星雲社から発売中。問い合わせは同社電話03(3868)3275。

 
 

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