旅館・ホテルの経営者から、相続にまつわる苦い話を聞くことがある。先代が亡くなった後、相続税を納めるために、一族が長年保有してきた不動産を手放したというケースである。
ここで問題になるのは、どの不動産を手放すことになるかである。相続税は原則として現金による一括納付であり、期限は相続の開始を知った日の翌日から10カ月以内と定められている。この限られた期間で確実に現金化できるのは、立地が良く収益性も高い、市場で買い手がすぐにつく物件に限られる。地方の遊休地や老朽化した建物は、売りに出しても買い手がつかず、納税資金の手当てにはならない。結果として、保有資産の中で最も価値の高い不動産から順に売却されていくことになる。
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