エアバスは7月10日、最新の航空機市場予測「グローバル・マーケット・フォーカスト2026-2045」(GMF)を発表した。同予測によると、2045年までに世界の航空輸送量は2倍以上に拡大し、年間旅客数は約100億人に達する見通しだ。都市化とGDPの成長が長期的な旅客需要を牽引し、今後20年間で世界的なGDP成長率(2.6%)や都市部の人口増加(13億人増)、中産階級の拡大が進むことで、旅客輸送量は年3.9%の成長率で拡大すると予測している。
航空ネットワーク、中小都市へと分散化が加速
エアバスが7月10日に発表した「グローバル・マーケット・フォーカスト2026-2045」(GMF)は、向こう20年間の航空市場の姿を詳細に描き出した。
同予測では、都市化の波がより小規模な都市へと移行していくと指摘する。中産階級や国外移住者の増加、航空機の効率化や旅客輸送量の拡大が相まって、経済的に成立する新たな都市間の路線が誕生するとした。
航空ネットワークは分散化しつつある。都市における人口移動を反映し、中小都市の数は大都市よりも大幅に速いペースで増加する見込みだ。エアバスのGMFでは、「航空機の効率化が進むとともに、主要な幹線にとどまらず、中小都市間の路線へとネットワークが拡大していく」と予測している。
具体例として、リガ‐テネリフェ線やメルボルン‐アリススプリングス線がA220のような航空機で効率的に運航できるとした。また、航続距離の向上により、新たな都市間路線の開拓と直行便での接続が可能になっているとして、以下の路線を例示した。
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リスボン‐レシフェ線:A321neo
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ダブリン‐ナッシュビル線:A321XLR
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アルジェ‐クアラルンプール線:A330neo
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台北‐フェニックス線:A350
これらの路線はいずれも、各機種の航続距離と燃料効率の向上によって初めて経済的に運航が可能となった新たな都市間路線だ。
旅客輸送量、年3.9%で拡大へ 2045年に年間100億人
旅客輸送量は堅調な成長を維持している。エアバスのGMFは、「世界の旅客輸送量は力強い伸びを示しており、世界経済の成長や人々の旅行意欲と密に連動している」と述べた。
2045年までに、飛行機を利用する可能性が最も高い層である中産階級の人口は14億人増加(34%増)する見込みだ。今後20年間で、旅客輸送量は年3.9%の成長率で拡大すると予測する。2045年までに世界の航空輸送量は2倍以上に拡大し、年間旅客数は約100億人に達する見通し。
過去のデータについても言及。「地域紛争や燃料価格の高騰といった短期的な混乱が、長期的に需要を減退させることはない」と強調した。
需要の地域的変化も顕著だ。アジア太平洋地域への経済シフトを反映し、インド、ベトナム、インドネシア、マレーシアなどの新興国における力強い成長により、航空輸送の傾向が変化しつつあるという。顕著な変化として、国境を越えた人の移動や、親族・知人訪問を目的とした旅行の増加を挙げた。
今後20年で42,060機が必要 単通路型機が81%を占める
航空機需要の数字も具体的に示された。今後20年間で航空機は、経年機の入れ替えによって19,820機、成長への対応によって22,240機、合計42,060機が必要となる。そのうち単通路型機が81%、ワイドボディ機が19%を占める見通しだ。
エアバスはこれを「よりコスト効率が良く、CO₂排出削減に貢献する航空機への継続的な需要を反映している」と説明した。
機材更新の観点では、コロナ禍後の機材の経年化により代替需要が加速していると指摘。「高い収益性を確保しながら旅客需要が比較的少ないより長距離の路線開設に対応する、燃料効率が高く柔軟性に優れた新世代の単通路型機およびワイドボディ機が好まれている」と述べた。
エアバスは、世界中の航空機に占める最新世代航空機の割合が、2026年の約39%から、2045年にはほぼ100%に達すると予測している。
約9,000機の記録的受注残 A321neoとA321XLRが70%超
エアバスの製品戦略は、こうした市場の需要を反映したものだ。約9,000機にのぼる記録的な受注残数に裏付けられており、A220からA350に至る全機種の生産計画を維持する基盤となっているという。A320ファミリーの月産75機計画もその一つだ。
現在、A320ファミリーの受注残の70%以上を最大機種のA321neoおよびA321XLRが占める。エアバスはこれらを「新たな都市間路線での飛行に最適な機材」と位置付けた。
より需要の大きい路線にはA330neoが対応し、最長距離路線にはA350が対応する。また、A350貨物機が「市場への迅速な投入が求められる貨物分野で非常に高い支持を得ている」とした。
エアバスは航空について、「高付加価値で市場への迅速な投入が求められる商品の輸送に不可欠であるだけでなく、世界中の人々を多様な理由で結びつけ、多くの地域コミュニティに経済的な生命線を提供している」と位置付けた。
今回発表した「グローバル・マーケット・フォーカスト2026-2045」は、都市化、GDP成長、中産階級の拡大、新興国市場の台頭、そして航空機の技術進化という複数の要因が重なり合って、今後20年間の航空市場を形成していく構図を示した。経年機の入れ替えと新路線への対応という2つの需要軸が、合計4万機超という大規模な航空機需要を生み出す見通しだ。




