JR富良野線を走る「富良野・美瑛ノロッコ号」が今年度で運転を終了します。お別れ乗車をしようと、東京から日帰りの計画を立て、6月下旬の午後に旭川空港に降り立ちました。
「ノロッコ号」の始発は美瑛駅。空港からのバスで到着したところ、構内に人影がありません。改札口も閉まっています。おかしいな、と思って掲示をみてみると、なんと、運休とのこと。係員に尋ねると、同線を走る複数の車両の車輪に傷が見つかったため、全線で運行を取りやめ、線路を点検しているそうです。
東京から飛行機でやってきたのに、急きょ運休とは厳しいなあ、と天を仰ぎました。とはいえ、安全第一なので、仕方ありません。気持ちを切り替えて、ローカル路線バスに乗ることにしました。
といっても、美瑛駅からの路線バスは限られています。時刻は15時で、今から乗れるのは、道北バスの美瑛・白金線だけのようでした。美瑛駅と白金温泉を結ぶバス路線で、一部便が旭川駅にも足を伸ばしています。
気持ちとしては、白金温泉へ行って日帰り湯でも浴びたいところです。しかし、そこまで行くと、今日中に東京に帰れません。結局、温泉はあきらめて、白金温泉から来る旭川行きのバスに乗ることにしました。
富良野線が運休のため、この日の美瑛・白金線は、代行バスの役割も担っていました。美瑛駅の停留所には外国人旅行者の行列ができています。やってきたのは、郊外型の低床車の路線バス。車内はたちまち満員となり、最後に乗り込んだ筆者の座席はありません。北海道の雄大な景色を、立って眺めるバス旅となりました。
列車が運休で、満員バスに立って乗る、と書くと苦行のようですが、好天でしたし、北海道のからっとした空気もあって、気分は悪くありません。
乗客の多くは外国人観光客でしたが、地元客ももちろんいて、途中バス停での乗降もあります。なかには、ぽつんとした停留所に、1人、手ぶらで降りていく外国人も。近所に住んでいるようですが、何をしている人なのでしょうか。バスは鉄道より生活感が漂い、想像力をかき立てられるのが魅力です。
旭川駅まで約1時間。立ちっぱなしでしたが、あっという間でした。駅前を散歩し、ソフトクリームを食べて帰路につきました。
たまには、こんな旅もあります。
(旅行総合研究所タビリス代表)




