アソビJTB株式会社は7月8日、日本の「温泉文化」と世界で人気を博すポップカルチャー「KAWAII」を融合させたインバウンド向け体験プロジェクト「Experience ONSEN Culture」を始動すると発表した。
文化庁の令和8年度「日本博」事業に採択されたもので、2030年の「温泉文化」ユネスコ無形文化遺産登録に向けた機運醸成を図りながら、全国の温泉地を「世界から選ばれる感動体験の拠点」へと進化させることを目指す。

合弁会社が「KAWAII」の視点で温泉を再編集
アソビJTBは、株式会社JTBとアソビシステム株式会社が共同出資し、2026年3月に設立した合弁会社だ。本社は東京都渋谷区、代表取締役は齊藤あつし氏が務める。
同社は「ポップカルチャーで世界をアップデートする」という視点を掲げ、日本発のポップカルチャー、とりわけ「KAWAII」カルチャーと地域資源を融合した、訪日外国人旅行者向けの新しい体験価値創出を推進している。
今回のプロジェクトでは、アソビシステムが持つポップカルチャーにおけるクリエイティブ力と、JTBが持つ観光ネットワーク・インバウンド知見を融合。訪日客データをもとにニーズを捉え、「KAWAII×温泉」コンテンツを企画・プロデュースする。
全 国の事業者と連携し、情報発信から予約・決済までをワンストップで提供することで、訪日外国人旅行者の利便性を高め、一貫した体験価値を創出するとしている。

背景にある温泉地の課題とインバウンドの変化
訪日インバウンド市場が回復基調にある中、旅行者の関心は都市部だけでなく、日本の地域ならではの文化体験へと広がっている。
一方で、多くの温泉地では、夜間のコンテンツ不足や訪日外国人旅行者への魅力発信に課題を抱えている状況だ。
アソビJTBはこうした状況を受け、「日本の美と心」の総体である「温泉文化」の価値を再発見し、世界的なファンダムを持つ「KAWAII」カルチャーの視点で現代的に再編集することで、新たな来訪動機を創出できると判断した。
本プロジェクトは、2030年のユネスコ無形文化遺産登録を目指す「温泉文化」の魅力を最大化し、インバウンドの地方誘客と観光需要の平準化に貢献するものと位置付けている。

コアコンテンツは没入型ナイトマーケット「ONSEN KAWAII夜市」
プロジェクトの核となるのが、「ONSEN KAWAII夜市 NIGHT MARKET」(商標登録出願中)だ。
温泉街のフォトジェニックなアート演出、地産の食材を「KAWAII」の感性でリメイクしたフード&スイーツ、昔懐かしい温泉街の遊び体験、温泉ならではのファッションアイテムやグッズなど、アート・食・ファッションを融合した没入型ナイトマーケットとして展開する。
温泉地の自然・伝統・文化・食の魅力を総合的に打ち出し、世界からの誘客と回遊性を高める取り組みを広域的に展開。訪日外国人旅行者へ向けて、「従来の温泉観光を超える新しい温泉体験」の価値を提供するとしている。

2026年度は中国・四国から始動、2030年までに全国へ
今後の展開計画も明らかになった。JTB協定旅館ホテル連盟と連携・協力しながら、中国・四国エリアを皮切りに2026年度に取り組みを始動する。
以降、毎年エリアを拡大していく方針で、具体的なスケジュールは以下の通りだ。
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2026年度:中国・四国エリア
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以降順次:九州・沖縄エリア
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以降順次:北陸・東海・近畿エリア
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以降順次:北海道・東北エリア
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以降順次:関東・甲信越エリア
ユネスコ無形文化遺産への登録が予定される2030年までの5年間で、全国の温泉地へ展開していく計画だ。
なお、JTB協定旅館ホテル連盟は1956年(昭和31年)に創設。JTBグループと協力した各種キャンペーンや誘致宣伝活動、地域活性化を通じて会員旅館・ホテルの宿泊増売や人材育成事業、各種委員会の調査研究や研修活動を通して、会員旅館・ホテルの安定経営実現に貢献する活動を行っている。

「温泉文化」のユネスコ登録運動とは
「温泉文化」は、豊かな自然の恵みであり、古より人々の心身を癒やしてきた日本固有の文化と位置付けられている。
温泉地が脈々と紡いできた温泉文化を次代へとつなぐため、全国各地の温泉地や行政、企業・団体が一丸となってユネスコ無形文化遺産登録に向けた運動を推進中だ。本プロジェクトは「温泉文化」ユネスコ無形文化遺産登録を応援する知事の会とも連携して進められる。
「日本博」事業とは
「日本博」は、日本の美と心を体現する文化芸術の振興およびその多様かつ普遍的な魅力を発信する国家プロジェクトだ。文化庁が所管し、今回のプロジェクトは令和8年度事業として採択された。
地域経済の活性化と持続可能な地方創生を目標に
アソビJTBは、本プロジェクトを通じて「温泉文化」のユネスコ無形文化遺産登録に貢献するとともに、日本の温泉文化の新たな魅力を創造し、国内外に発信することで、地域経済の活性化と観光立国の推進、持続可能な地方創生の実現に貢献していくとしている。
「KAWAII」というポップカルチャーの力で、日本の温泉文化を世界へ——。5年がかりの全国展開プロジェクトが、2026年度に動き出す。




