道の駅「くるくる なると」のスロープ
国道11号沿い、四国の玄関口にある鳴門市の道の駅「くるくる なると」は、2022年4月にオープンして以来多くの人でにぎわい、今年1月には来場者500万人を達成しました。渦潮で有名な鳴門市ですが、大鳴門橋ができて道路網が整備されたことで、観光客・移動者の行動範囲が広がり、域内の消費喚起の点で課題を抱えていました。一方、鳴門市には、南海トラフ巨大地震や中央構造線活断層帯の断層による直下型地震、台風をはじめとする風水害などへの対策が求められており、災害に負けないまちづくりの推進が急務となっていました。
このような地域の課題を解決するために、地域内外から新たな人の流れを呼び込み交流人口拡大や地域活性化を図る交流拠点となる平常時の機能と、非常時には道路利用者や市民の避難活動や支援活動の防災拠点としての機能を併せ持つ、「フェーズフリー」を施設設計のコンセプトとして「くるくる なると」は生まれました。
体験型食のテーマパークと題して、渦潮にもまれた鳴門鯛(たい)や鳴門ワカメ、金色に輝くなると金時など豊かな自然が生み出す地元のブランド商品が所狭しと圧縮陳列された物産館では、にぎわい感あふれるなかで商品を楽しみながら手に取ることができ、ひとたび災害が発生すると食料品をはじめとする商品が避難者へ配布され緊急避難に対応できるのです。
道の駅といえば、広い駐車場が設置されていますが、子どもたちにとっては危険な場所でもあります。「くるくる なると」には、駐車場からそのまま広いスロープであがれる子どもの遊び場が用意されていて大人気です。駐車場から離れて安全に遊ぶことができるこの場所は実は施設の屋上。この地域で予想されている津波の高さより高い位置にあって非常時には避難場所となります。ふだんから使いなれた場所へは避難場所であることを覚えなくてもたどりつくことができるのです。
このようにフェーズフリーを取り入れて計画された「くるくる なると」は、災害時のために何を用意するかという視点ではなく、ふだんの使い方を楽しく、便利にすることを考えたことが非常時にも役立つものになっているのです。
「くるくる なると」は、徳島県内で18番目に開業しましたが、1993年に正式登録が始まった道の駅は、2025年12月19日現在、全国で1231駅が登録されています。地域振興と災害対応の両立を企画時点から目指して、フェーズフリーをコンセプトに建設された「くるくる なると」は今後の道の駅のお手本となることが期待されます。
次回からは、フェーズフリーとはなにかについて説明し、観光施設や観光交流空間の事例をとりあげながらフェーズフリーについてお伝えしていきます。
(国際観光施設協会フェーズフリー委員会委員長、株式会社NTTファシリティーズ 石原智也)
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「脱炭素でスマートな旅館 国際観光施設協会エコ・小委員会」を改題、内容を新たにした新連載のコラムです。

道の駅「くるくる なると」のスロープ




