玉垣氏
「サステナブル取引方針」 パートナーに賛同呼び掛け
――目指すサステナビリティの姿は。
事業活動が活発になればなるほど、地域や人権、環境の課題が解決し、さらなる社会の発展につながる姿を目指している。その実現のため、マテリアリティ(重要課題)として「心豊かなくらし」「人々をとりまく環境」、お客さま、事業パートナーとの「パートナーシップ」を掲げている。
――2025年度の取り組みは。
24年度にサステナビリティチームが設置され、気候変動、資源・廃棄物、人権などの取り組みテーマを設定し、テーマごとに評価軸、KPIを明確にして進めたことでフレームワークが整ってきた。事業活動における社外評価では、日本旅行業協会(JATA)の「JATA SDGsアワード」で合計七つの賞を受賞した。「日経SDGs経営調査」の評価指標は、前年の57.5から58.5へと数値を上げることができた。また、サステナビリティの国際的な評価枠組み「Eco vadis」ではブロンズを獲得した。
JTBグループの社員に対しては、「アクション元年」と位置づけ、サステナビリティに関するeラーニングなどの社内研修を充実させた。取り組みの社外発信も増やし、社員がそれを目にすることで、自社の活動への理解とサステナビリティへの意識を向上させることを目指した。社外発信は当初の目標の10件に対し42件と大幅に伸ばすことができた。それらの取り組みの結果、社員意識調査で「会社としてサステナビリティに取り組んでいる」という回答が77.9%から86.7%に上昇し、だいぶ意識が根付いてきたと考えている。
――サステナビリティが体現された事業の事例は。
高松市での「クセモノズ」という事業が各方面から高い評価をいただいた。市場で廃棄されてしまう未利用魚などを活用する飲食店「クセモノズ」と、地域と旅行者を結ぶ交流スペース「SICSサステナブルラウンジ」を運営しているほか、地元の小学生と未利用魚などの食材でレトルトカレーを開発した。地域の持続可能な課題解決に向けて、将来世代を含めた幅広いステークホルダーが関わる。こうした象徴的な事業を拡大していきたい。
――26年度の取り組みは。
二つの軸に重点を置いている。一つは、事業へのサステナビリティのさらなる実装だ。25年度に事業目標としてのKPIを設定したので、その達成に向けた取り組みをより進化させる。単年度の目標にとどまらず、中長期の目標も設定していく。
もう一つは、サプライチェーン全体でのサステナビリティの推進だ。カーボンニュートラルをはじめ、自社だけでは完結しないテーマが多い。サプライチェーンの皆さまとの協働に向けた動きを加速させる。
――旅ホ連と連携した取り組みは。
前述の取り組みの重要なステップとして、JTBと旅ホ連が合意した「サステナブルツーリズム・パートナーシップ協働宣言」を踏まえ、その次のフェーズとなる「サステナブル取引方針」へのご賛同を得ていきたい。26年度はこの意思確認にシステムを活用していく。賛同の有無で取引を制限するものではなく、共に推進していきたいという考え方を丁寧に説明する機会を設定していく。
70年という歴史ある旅ホ連の皆さまと一緒に取り組むことに意義がある。先進的に取り組んでいる施設も多い。持続可能なツーリズム産業という目指すところは同じだと思うが、アプローチにはそれぞれの方法がある。目の前の課題を解決する答えと、未来に向けて持続可能かどうかの答えは、必ずしも同じではないかもしれないが、未来軸で一緒に考えていきたい。

玉垣氏




