【JTB旅ホ連 設立70周年・通常総会特集】JTB各事業・領域の現状と展望 常務執行役員 ツーリズム事業本部副本部長 全社広域営業推進担当 兼東日本エリア広域代表 訪日インバウンドビジネス担当 国際園芸博覧会(GREEN×EXPO2027)推進担当 山田仁二氏に聞く


山田氏

「TOURISM HUB」構築へ グローバル、シームレスな流通

 ――2025年度の訪日インバウンド事業の取り組みは。

 総じて充実した1年だった。インバウンドにはさまざまな領域があるが、取り組むべき領域の整理ができた。昨年9月に発表した事業戦略「訪日インバウンドVISION2030」で、既存事業の6領域(BtoC、提携販売、旅行会社・ランドオペレーター、BtoBコーポレート、プロモーション、BtoG)と、訪日の目的となりうるコンテンツや体験を創出する「+1の新領域」に整理し、JTBグループ全体で横断的に推進する方向性を明確にした。

 ランドオペレーター領域については、これまでJTBグローバルマーケティング&トラベル(GMT)が中心を担ってきたが、全国に発着連動の手配機能を持たせ、自治体やパートナーとの連携を強化しようと、首都圏、関西圏に加え、北海道、仙台、名古屋、広島、福岡、沖縄に推進拠点を整備した。これらの拠点とGMTのノウハウを融合させることで、地域に根差した事業の推進や事業の高度化につながっている。

 ――26年度の訪日インバウンド事業の重点施策について教えてほしい。

 大きな柱の一つが、データプラットフォーム「JTB TOURISM HUB」の構築だ。国内の宿泊施設や観光施設、交通機関、MICE施設、飲食、アクティビティなど、JTBがお預かりしているさまざまなコンテンツ群を、グローバルOTAや国内の旅行会社などが簡便に利用できるようにする新たな流通の仕組みだ。

 宿泊施設や観光事業者に新たな負担を求めるものではなく、すでにつながっている接続を活用し、さまざまな流通チャネルにシームレスに、グローバルに展開する。JTBグループの各種の在庫管理システムやチケット流通システムとも連携させる。順調にいけば、今年冬ごろに接続を開始できる予定だ。

 このHUBは流通の仕組みであるだけでなく、データのプラットフォーム機能となる。自治体や事業者を対象に、行動・購買データを基にしたコンサルティングを行うなど、データを地域とシェアしていくことが理想だ。例えば、このHUBを通じて蓄積される予約データを分析し、動向を読み解けるようにする。

 ――新たなコンテンツやサービスの創出に関する取り組みは。

 アソビシステム社と設立した合弁会社「アソビJTB」では、「KAWAII」を武器に日本発のポップカルチャーと地域資源を融合することで、新しい体験価値をつくっていく。また、MOTO TOURS JAPAN社との提携では、オートバイを通じた訪日インバウンド市場の拡大を進める。こうした新しい取り組みも、各営業セクションへの浸透を図り、進化させていく。

 ――長期ビジョン「OPEN FRONTIER 2035」は、訪日を含むグローバル事業の比率を利益ベースで現状の22%から、35年に50%に引き上げる目標を掲げる。

 「訪日インバウンドVISION2030」で明確化した6+1の領域を伸ばしていく。全国に設けた推進拠点を含め、グループ社員が意識を高めて実感を持ち、全社で訪日インバウンドに取り組むことができれば、総量として大きなうねりになると考えている。

 ――オーバーツーリズムが問題視されているが。

 時期・時間、地域の平準化を実現する「時空の分散」は、日本の観光の長年の課題だ。訪日インバウンドについてオーバーツーリズムといわれるが、スペインやフランスと比べ、人口比の受け入れ規模はまだ低い水準だ。インバウンドの恩恵をまだ受けていない地域にこそ広めていかなければならない。東京や大阪に集中するお客さまを地域に誘導し、宿泊施設や観光事業者のビジネスが成り立つ環境づくりを進めるのがわれわれの役目だ。

 ――「東日本エリア広域代表」としての抱負は。

 25年度は大阪・関西万博の影響もあり、東日本エリアにとっては非常に厳しい1年だった。26年度は、27年3月に「GREEN×EXPO2027」(国際園芸博覧会)が開幕するが、各地域と協業しながら地域に資する取り組みを推進していきたい。

 継続的な取り組みでは、山梨県での「カイフジヤマロード」構想が訪日客の集客、エリア分散に成果を上げ始めている。地域における成功事例を積み重ねていく。

 今後は特に、東北のポテンシャルに注目したい。アドベンチャー・トラベルの観点から潜在力は非常に高いと評価されており、欧米豪のお客さまを東北へ、という流れをつくることが課題だ。リピーターになるほど地域に向かうというデータがあり、リピーターを獲得し、東北への誘客の仕組みづくりを進めたい。

 ――旅ホ連との連携についてのお考えは。

 旅ホ連は当社にとって最大のパートナーだ。私自身、関東支部連合会の名誉会長職を務めており、施設の皆さまの期待や課題を肌で感じている。経営者の世代交代が進む中、新しい取り組みにより意欲的な施設が増えており、ビジネスの議論を進める関係もできている。訪日インバウンドでも、どういうお客さまに来ていただきたいのか、コミュニケーションを深めながら協業していく。データの活用・分析についても重視し、旅ホ連、地域の皆さまのお役に立てるような取り組みを推進していきたい。


山田氏

 
 
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