【JTB旅ホ連 設立70周年・通常総会特集】JTB各事業・領域の現状と展望 執行役員 ツーリズム事業本部 マーケティング戦略担当 Web戦略担当 顧客戦略担当 池口篤志氏に聞く


池口氏

多彩な顧客接点、チャネル生かす 宿泊販促メニューも整備へ

 ――2025年度のWeb販売事業の実績は。

 トータルの販売額としては2024年度を上回ることができた。ただ、領域によって差がある。海外旅行は11月以降に若干減速した局面もあったが、年間では前年比120%程度。訪日旅行も同様に11月以降やや減速したものの、年間で130%程度の水準で推移した。一方、国内旅行は、大阪・関西万博の影響や訪日インバウンドの活況の一方で、国内のお客さまにとっては単価上昇などの要因が重なり、なかなか伸ばしきれなかった。

 ――各サイトの取り組みは。

 「JTB公式サイト」では、OMO(オンラインとオフラインの融合)を推進し、店舗、コールセンター、Webという販売チャネルを最大化させる取り組みのフェーズがもう一段進んだ。JTBトラベルメンバーの会員数は1800万人に近い水準まで増加している。会員限定クーポンや各種特典により、リピートしてご利用いただけるお客さまが確実に増えてきた。

 「るるぶトラベル」は、これまで会員登録なしのゲストとしての利用が多くを占め、トラベルメンバー会員の利用が少ない状況だったが、直近では会員の利用の割合が拡大している。アプリからの販売比率も着実に増えてきている。

 訪日インバウンド向けの「JAPANiCAN(46)com」においては、販売期間をそれまでの185日先から365日先まで延長したことが大きい。訪日旅行では、半年以上前から計画・予約するお客さまも少なくないので、そうした層を取り込めるようになった。

 ――OTA(オンライン・トラベル・エージェント)間の競争が激しい。

 競合他社が広告宣伝投資を積極的に行っており、プロモーションコストをかけてお客さまを誘導するという点では、厳しい環境だった。ただ、会員のお客さまとの接点、アプリ経由の販売という点に関しては比較的堅調に推移し、SNSを活用したプロモーションも進んだ。UI(ユーザーインターフェース)の改善、お客さまのユーザビリティの向上には終わりがないので、引き続きしっかり取り組んでいく。

 AIを活用したお客さまとのコミュニケーション手法についても、年内にローンチ(稼働)すべく、いくつかベータ版の取り組みをプロジェクトとして動かしている。JTB公式アプリでは、プッシュ通知の活用や、デジタル会員証を提示することで特典が受けられるような仕組みの検討も進めている。

 また、Web上での旅行商品の検索という観点では、AI検索の台頭によりSEOを軸とした従来の手法が変わりつつある。AIにどう選んでもらえるかは喫緊の課題として早く対応したい。

 ――2026年度のWeb販売事業のポイントは。

 まず、市場の成長率を上回る形で事業を拡大することが最低限の目標だ。

 今年度の最も大きな変化の一つとして組織再編がある。これまでWeb販売事業部として運営していた組織を、販売・システム・プロモーションの各部門に分けた上で、店舗・コールセンター・JTB公式サイトを一つの販売事業部として統括する形に改めた。プロモーション機能も一本化した。これによりOMOの推進や広告宣伝の統合が進み、一貫性のあるプロモーションと効率的な顧客接点が実現できると考えている。

 また、お客さまの捉え方を変えていく取り組みも進めている。これまではファミリー旅行やカップル旅行といった旅行形態でセグメントして商品・プロモーションを設計してきたが、同じお客さまでも、ある時はファミリー旅行、ある時は一人旅というように旅行シーンで捉え直す方向へ転換していく。

 JTBの強みである「安心・安全」というキーワードも大事にしたい。若年層の初めての海外旅行や、初めてお子さまを連れて飛行機に乗るといった「初めて」や「特別」な旅行のシーンで想起いただけるよう、お客さまの受け取り方を意識した商品開発やプロモーションを強化していく。

 ――旅ホ連会員施設との連携は。

 訪日インバウンドに関しては、「JAPANiCAN(46)com」のプラン登録を進めていただきたい。コロナ禍を経て、まだ参画されていない施設がある一方、市場は伸びている。オペレーション面や言語面に課題がある施設もあることは承知しているが、販売のチャンスは十分にある。提携先のアゴダ、トリップ・ドットコムなどを経由した訪日客向け販売も拡大する。事前決済やキャンセル料自動収受については、「JAPANiCAN(46)com」に導入した仕組みを提携先での販売にも組み込む。

 加えて、宿泊増売に向けて、Web販売を含むオールチャネルでの販促メニューを整備していく。急な空室が発生した際や需要が弱い時期にプロモーションを実施できるさまざまなメニューを想定しているので、会員施設の皆さまにご活用いただきたい。先行して「るるぶトラベル」や「JAPANiCAN(46)com」内での広告宣伝を施設単位、エリア単位、複数施設のチェーン単位など、さまざまな形で活用いただけるよう準備を進めている。

 ――旅ホ連が設立70周年を迎える。

 引き続き旅ホ連の会員施設の宿泊増売に貢献できるよう取り組みたい。JTBは、1年以上前から動き出す学生団体などから、訪日団体、国内団体、訪日個人、そして店舗、Webまで、リードタイムに応じて多彩な顧客接点・販売チャネルを持っており、この強みを最大限に生かしていく。大きな節目となるこの1年において、会員施設の皆さまのご期待に添えるよう販売拡大に努めていくので、今後もコンテンツの充実や商品登録・更新でのご協力をお願いしたい。


池口氏

 
 
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