【JTB旅ホ連 設立70周年・通常総会特集】JTB各事業・領域の現状と展望 常務執行役員 エリアソリューション事業部長 三村堅太氏に聞く 


三村氏

DX領域で宿泊業に貢献 旅ナカはBOKUNを拡大

 ――2025年度はエリアソリューション事業にとってどのような年だったか。

 訪日インバウンドの増加を背景に、エリアソリューション事業も堅調に推移した。中期経営計画フェーズ3のテーマを「成長と飛躍」と定め、2025年度の重点テーマを「深化と拡張」としてグループ内外との共創による事業展開を加速し、観光地を面で活性化するビジネスの伸展に取り組んだ。

 ――エリアソリューション全体の取り組みとしては。

 JTBが策定した長期ビジョン「OPEN FRONTIER 2035」で、エリアソリューション事業の事業領域を、従来の3区分から次の4区分に組み替えた。(1)エリアの価値を高めるエリア開発(2)観光事業者支援(3)地域交流・行政支援、BPO(4)観光事業者向けタビナカコンテンツプラットフォーム。ただし、エリアソリューションの思想は変えていない。エリアの価値を高め、未来と世界につなぐというテーマのもと、地域のパートナーと共に取り組んでいく。

 ――「エリア開発」の取り組みは。

 沖縄、小豆島は引き続き事業を拡大しつつ、伊勢志摩エリアでは、伊勢参りを体験するデジタルアート事業を開始した。富士・箱根・伊豆エリアでは二つの実証実験として、箱根と河口湖を結ぶ広域回遊型商品を販売したほか、料理人が地域に居住しながら料理を提供する事業「シェフ・イン・レジデンス」を行った。

 大阪・関西万博では、協会からの受託事業や法人向けサービス、個人向け旅行商品の販売などさまざまな事業を展開し、大きな成果を上げることができた。万博開催中の人流拡大を契機に、道頓堀で最先端のXR技術を用いた体験型観光施設、個性的なパフォーマーが出演するエンターテインメント施設の運営も手掛け、新たなナイトタイムコンテンツを提供した。万博での新たなビジネス展開を一つの経験として、大阪IR(統合型リゾート)、今後の博覧会系イベントに生かしたい。

 ――「観光事業者支援」はどうか。

 2026年1月に、アクティバリューズ社と資本業務提携契約を締結した。これまで導入を推進してきた「Kotozna Ⅰn―room」「JTBデータコネクトHUB」などに加え、同社の製品も合わせることで、宿泊事業者のタビマエからタビアトまでの一貫したデジタルソリューション導入を促し、それによる顧客課題の解決を目指したい。

 商事事業では、宿泊施設の客室稼働率の向上に伴い、JTB商事の消耗品販売が安定的に推移した。リブランドを含む複数の新規開業施設の案件を着実に受注し、装備品販売も好調に推移した。また、JTBビジネスイノベーターズでは、訪日インバウンドの増加を追い風に、宿泊事業者向けオンライン決済ソリューションが前年を上回り好調だった。

 ――「行政支援・BPO」の実績は。

 行政支援におけるふるさと納税事業では、個人版ふるさと納税の契約自治体における寄付額最大化に向けた取り組みの強化と自治体への新規獲得営業の推進に注力した結果、年間寄付額は前年度比112%と過去最高を更新した。

 ――「観光事業者向けタビナカコンテンツプラットフォーム」の2025年度の取り組みは。

 訪日インバウンド向け体験事業者の利用が多い「JTB B KUN」の販売流通額は前年比262%と大幅に伸びた。観光施設向けの「GFJチケットプラットフォーム」の販売流通額も前年比109%となり、いずれも過去最高だった。

 ――2026年度の事業展開における重点事項はどのような取り組みか。

 2026年度は「強靭(きょうじん)でしなやかな事業への成長基盤構築」がテーマ。競争力と収益性を高め、事業の強靭化を図るとともに、新たな成長を生み出すため、人財・仕組み・基盤整備を行う。

 重点実施事項は、「エリア開発」の領域では、引き続き不動産投資の実行を推進するとともに、地域に魅力やにぎわいを持続的に創出する基盤を確立する。2025年度に開始したJR東海との協業による手荷物当日配送サービス「LUGGAGE EXPRESS」も拡大したい。

 「観光事業者向けタビナカコンテンツプラットフォーム」領域では、特にBOKUN事業の拡大を図る。「JTB B KUN」は、コロナ中のスタートで苦戦したが、現在、大きな伸びを示しており、さらなる成果につなげるために営業を推進している。今後の方針として、国内外におけるセラーの拡大に加え、ユーザー同士のつながりを生かした流通の拡大を図る。また、「JTB TOURISM HUB」の稼働を念頭に、新たなサービスの拡充を目指す。

 「観光事業者支援」、「地域交流・行政支援、BPO」の両領域についても、サービスやソリューションをさらに高度化し、事業を拡大していきたい。

 ――「長期的ビジョン」に対応した取り組みは。

 長期ビジョンでは、エリアの支援と開発を統合的に進めることを掲げており、JTBグループだからできるエリア支援・開発を推進したい。そのためには、四つの事業領域や、JTBの旅行事業において集積したデータを活用し、データに基づく再現性の高い手法を各エリアの支援・開発につなげることが重要だ。また、事業推進のため、人財の育成・確保が必要で、特に、デジタル、不動産、金融に関して専門知識を持つ人財を増やしている。

 ――旅ホ連との連携についてのお考えは。

 旅ホ連の皆さまは、エリアソリューション戦略にとって、重要なお客さまであり、最大のパートナーだ。まず今年度はDXの領域でより関係性を深めたい。ソリューションを個別ではなく、有機的につなげ、グループとして統合的に提案していく。宿泊事業者の皆さまの生産性向上とお客さまの満足度向上の両立に貢献するのでご協力をお願いしたい。


三村氏

 
 
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