【体験型観光が日本を変える443】日本が真の先進国になるために 藤澤安良


 5月下旬になり、雨の日も多く、五月晴ればかりとはいかない。高速バスで地方に向かったが、平日とあって乗客は定員の3分の1にも満たず、10名であった。乗客の1人が運転手に「お客さんが少ないねえ」と言うと、「連休は良かったのですが、連休明けからは少ないです」と答えた。高速道路上でもすれ違うバスは高速路線バスばかりである。サービスエリアでも団体貸し切りバスにはほとんど出会わない。観光関係者としては寂しい限りである。

 高知県へ航空機で飛んだが、機材が大きくないこともあってかほぼ満席であった。空港では団体を待つバスはなく、空港リムジンが満席で出て行き、レンタカー会社の受付カウンターは列ができている。その多くが60~70代と思われる夫婦やグループ客である。つまり、国内旅行はシルバー層を中心に、公共交通機関やレンタカーを利用して出掛けていることがはっきりしている。若者から中年までは出張以外、旅行をしている場合ではないという雰囲気がある。

 2025年の海外旅行は人数ベースでコロナ前の2019年比で73.4%と伸びておらず、回復していない。頼みの綱のインバウンドは、中国からの渡航者が56.6%と減少しており、3カ月ぶりに単月で前年割れとなった。そのインバウンドの偏りも課題である。

 いわゆるオーバーツーリズムといわれる地方の場所や地域はニセコや白馬などピンポイントであり、東京、京都、大阪、福岡、広島、札幌などの大都市に集中している。一方で、外国人なんか1人も見たことがないという地域も少なくない。オーバーツーリズムといわれるようなマイナスの話題はない方がいいが、広く満遍なく増えていくのが理想である。

 人数の結果ほど魅力が片寄っているとは思わないが、魅力の情報が届いていないことが原因の一つだ。地域側は魅力の発信に注力しなければならない。

 政府にとっては、入り口の扉が開くまでは旅行者の地方への分散、地方を応援する政策が求められる。外国人が日本は親切で優しく美しい国であり、先進国の中でも物価が安く、とりわけおいしい食事が安く、満足度が高いと言う。いいところだと言ってリピーターも多く、1回の旅行で10日間を超える日程の客も増えている。

 庶民感覚では、未成年が学校で勉強をしていなければならない時間に無免許で遠くまで行き、強盗殺人をしでかす国。殺人事件が頻繁に起こっているし、無謀な運転による交通事故も多い。詐欺は増え続け、物価高は収まらず、値上げの話題ばかりが多く、石油由来の製品が不足し、建築資材にも、お菓子のパッケージにも、ケーキの容器にも影響が出始めており、悪いニュースばかりである。”いい国感”が薄れている。国民が前向きに、生きる活力を取り戻すような起死回生の政策が期待される。

 実現まで時間がかかりすぎている期間限定の消費税減税よりも、給料や所得の倍増をどう実現すべきか議論する方が夢がある。日本人の国内旅行によるオーバーツーリズムを心配するくらいになってこそ、真の先進国である。

 
 
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