クラブツーリズムは5月8日、観光庁が実施する「ユニバーサルツーリズムの促進に向けた環境整備に関する調査事業」の一環として、旅行会社向けマニュアルの作成業務を受託し、作成したと発表した。
同社がこれまでの知見を活かして作成を支援した「旅行会社の商品造成・販売担当者向け ユニバーサルツーリズムの商品造成・販売マニュアル」は、2026年4月に観光庁より公表された。旅行会社の実務担当者がユニバーサルツーリズムに対応した商品の造成および販売を円滑に行うための実践的な指針となるものだ。
マニュアル発行の背景——人口減少と高齢化が迫る市場変革
現在、日本の国内旅行市場は人口減少という大きな局面を迎えている。
その一方で、今後さらなる増加が見込まれる高齢者や、障がいがある方の旅行需要を喚起するとともに、多様な旅行者が安心して旅行を楽しめる環境を整備することは、新たな交流市場を拡大させるための喫緊の課題となっている。
こうした状況を踏まえ、観光庁では年齢や障がいの有無にかかわらず、すべての人が安心して旅行を楽しめる環境の実現を目指し、ユニバーサルツーリズムの普及・促進を加速させている。
しかしながら、実際の旅行業務の現場においては、ユニバーサルツーリズムの具体的な対応ノウハウの欠如や、商品造成の指針の未整備が課題とされてきた。旅行会社が自信を持ってサービスを提供するためには、実務に即した体系的なマニュアルの整備が強く求められていた。
マニュアルの構成——企画から実施まで、全プロセスを網羅
マニュアルの副題は「~さあ、はじめよう! 旅行会社だからこそできるみんなが主役の旅づくり~」。全4章構成で、実務担当者が各プロセスで活用できる内容を体系化している。
第1章「ユニバーサルツーリズムの必要性」では、ユニバーサルツーリズムに関する概論、マーケットの広がりとニーズ、旅行会社の現状と課題を取り上げる。
第2章「ユニバーサルツーリズム商品造成にあたっての留意点」では、旅行業における「合理的配慮の提供」の考え方、旅行形態別の視点と対応の考え方、旅行における参加者の「お困りごと」を解説。
第3章「プロセスごとの対応のノウハウ」では、商品造成のプロセス全般にわたって、企画・旅行計画、手配・準備、情報発信(集客)、実施の各段階での対応ノウハウを詳述する。また、モニターツアーの実施および参加した旅行会社の声をコラムとして掲載している。
第4章「ユニバーサルツーリズム商品の販売と展開可能性」では、展開事例とポイント、展開可能性について示す。
巻末資料も充実しており、「ユニバーサルツーリズムに関連する法律や国の指針等」「観光庁におけるユニバーサルツーリズムへの取組」「旅行会社が利用できる全国の地域バリアフリー旅行相談窓口」「旅行者への事前説明・ヒアリングの確認」の4点を収録している。
「障がいではなく人を見る」——マニュアルの基本的な考え方
マニュアルの基本的な考え方として掲げるのが「障がいではなく人を見る」という視点だ。
ユニバーサルツーリズムの取組は、商品を特殊なものとして切り分けるのではなく、既存業務の延長線上にあるものとして捉え、旅行に際しての様々な「お困りごと」を丁寧に聞き取り、調整することで実現可能だとしている。
旅行会社の役割については、「参加者一人ひとりが安心して旅を楽しめる環境を整えること」という視点に基づいてマニュアルが作成されたと説明している。
また、旅行商品の企画から実施までの各プロセスにおいて、現場担当者が実務の中で活用できる”実践知”を体系化してまとめており、旅行会社におけるユニバーサルツーリズムの推進を後押しする内容となっている。
クラブツーリズムは、「本マニュアルが旅行会社におけるユニバーサルツーリズムの理解促進および実践の一助となり、観光産業全体における受入環境の向上につながることを期待している」としている。
クラブツーリズムのこれまでの取組——「大人のゆるり旅」など
クラブツーリズムはこれまでも、ゆとりある行程設計や手厚いサポートを特徴とした「大人のゆるり旅」などを展開し、誰もが安心して楽しめる旅の提供に注力してきた。
ユニバーサルツーリズムについては、「特定の方に向けた施策に留まらず、今後の観光市場において一層重要性が高まる分野であると認識している」と位置づけている。
今後の方針として、同社は本事業で得られた知見を最大限に活かし、多様なニーズに寄り添った旅行商品の提供を推進していくとしている。あわせて、観光を通じた社会課題の解決に取り組むとともに、地域との共創による持続可能な観光(サステナブルツーリズム)の実現にも貢献していく考えだ。
クラブツーリズム株式会社の本社は東京都江東区。代表取締役社長は酒井博氏。KNT-CTホールディングスのグループ会社だ。
マニュアルの全文は観光庁ホームページ(https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001997278.pdf)で公開されている。




