賃金水準、福利厚生、休日の取りやすさ、寮の整備、…地方の温泉旅館で働くスタッフの労働環境は、改善の余地がたくさんあります。それでも、一生懸命働いてくれているスタッフがいる。
ハード面の改善はもちろん大切ですが、それだけでは人は職場に残り続けてくれません。「なぜ人は仕事が嫌になるのか」を掘り下げてみると、待遇への不満と同じくらい、あるいはそれ以上に多いのが「自分がここで評価されていない」「誰にも見てもらえていない」という感覚です。承認されたい、認められたいという気持ちは、人間の根本的な欲求です。その欲求に応えることこそ、中小規模の旅館経営者が実践すべきことです。
では、具体的に何をどうすればよいでしょうか。まず大切なのは、「結果」だけでなく「プロセス」と「存在」そのものに目を向けることです。売り上げや集客を褒めるのは大切ですが、スタッフが本当に「認められた」と感じる瞬間は、誰も気づかないような小さな気配りや行動を見てもらえた時です。「さっきのお客さまへの一言、すごく温かかったね」「備品の整理、いつも助かっているよ」―そんな一言が、スタッフの心にじんわりと届きます。「すごいね」という評価の言葉より、「ありがとう」「助かっている」という感謝の言葉の方が、上下関係を超えた信頼感を育みます。
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