2030年に「温泉文化」がユネスコ無形文化遺産に登録されることを願い、本連載でも「温泉文化」の魅力を多角的に語ってみたいと思います。
第2弾は「湯治」編。
先日、本年度の跡見学園女子大学の「観光温泉学(温泉と保養)」の第1回授業ガイダンスを無事に終えました。100人を超える学生が履修してくれ、当日は表情豊かに受講してくれました。
履修理由は「昨年度受けた友達からすすめられた」が多く、「ホテルか旅館に就職したい」という非常にうれしい言葉もありました。
本年度は「学生と『温泉文化』を考える」をメインテーマに授業をしていきます。また毎年恒例の配信授業は、「自然災害と温泉地・宿」をテーマに石川県和倉温泉からを予定しています。いまの和倉温泉、そして未来の和倉温泉を伝える授業です。
さて、ガイダンスの際に学生たちに「湯治」に対してどのようなイメージを抱いているか尋ねてみました。
おおむね「湯治のイメージは、温泉に入るだけで健康回復やリラックス効果がある」と、ごくごく一般的な認識です。
ただし、観光を専門としない他学部からの履修生の中には、
「都市伝説程度だと思っていてあまり信じていなかったが、先生の話を聞いて湯治の信ぴょう性が高まった」
「聞いたことがなかった。1泊2日の温泉旅行のことも湯治を指すのでは?と思っていたが、1週間ほど滞在して整える、昔から伝わる健康法ということを学び、湯治に対するイメージが大きく変わった」
と、そもそも「湯治」の概念を知らない若い層がいることが明らかになりました。
一方で、観光を専門とする学生はかなり詳しく認識していました。
「温泉宿で人工的な温泉と天然温泉と両方に入る機会があり、入った後の身体の調子が全く違うことに驚いた。天然温泉の効能に興味を持った」
「立派な療法だと思う。実際、自分も温泉に浸かると身体がすっきりしたり、ハリが出たり、リラックスできたりして湯治を実感しているので、有効的な療法なのだろうなと思う」
「湯治については、昔から病気やけがの療養に温泉が使われていたという簡単なイメージしかなかった。よくよく考えてみると、自分が温泉が好きな理由は気持ちが良かったり疲れが取れるからというものだったので、温泉に療養の効果があるというのは無意識に実感していました」
以上のように、若い女性たちも温泉の効果効能を肌で感じながら、その確証が持てなかったということでしょう。
良し悪しは、非常に感覚的なことです。
ですから、「観光温泉学」では、温泉・湯治によってもたらされる回復力や多幸感を、歴史やその背景から、あるいはエビデンスを示しながら解き明かしていきます。
ちなみに今年の秋に国際交流基金日本文化センターから招聘(しょうへい)されています。呼んでいただいたその国の温泉専門家との対談企画が進んでいます。私は「日本人と温泉」をテーマに、「湯治」を軸にして、いにしえからの湯治と現代の温泉活用法を示しながら、日本固有の宿に泊まることの意義を話すつもりです。
(温泉エッセイスト)




