鳥海氏
ここ数カ月、アメリカ国内で大きな話題となっていたのが、空港における保安検査場の深刻な混雑問題である。特にニューヨークやヒューストンなどでは、保安検査を通過するまでに3時間以上を要するケースも報じられ、長蛇の列に並ぶ旅行者の様子がSNSなどでも拡散されていた。
この背景には、アメリカ政府の予算案が議会で可決できず、空港関連では保安検査などを担うTSA(米国運輸保安局)の職員に対する給与支払いが一時的に滞ったことで、欠勤や人員不足が発生し、特にハブ空港を中心に検査体制が大きく弱体化した。
ニューヨークのジョン・F・ケネディ空港やラガーディア空港、さらにはアトランタやヒューストンといった主要空港でも混雑が顕著となり、利用者にとっては大きなストレスとなっていた。
しかし、こうした状況は現在、徐々に改善に向かっている。職員への給与支払いが一部再開されたことでやや人員体制も回復し、待ち時間は大幅に短縮されているようだ。
筆者自身も3月後半はロサンゼルス国際空港、4月11日にはシアトル・タコマ国際空港を利用したが、いずれも保安検査は5分以内で通過できるなど、混雑はほぼ解消されている印象を受けた。また、シカゴを利用した知人からも同様にスムーズだったとの声があり、全体的に正常化が進んでいると見てよいだろう。
もっとも、アメリカの空港は他国と比較しても保安検査の待ち時間が長くなりやすい傾向がある点には注意が必要だ。
特に個人的には、ハワイ・ホノルルのダニエル・K・イノウエ国際空港でその傾向が顕著である。コロナ前はビジネスクラス利用者や上級会員向けに「ゴールドレーン」と呼ばれる優先レーンが用意されていたが、現在は廃止され、優先的に検査を受けられるのは事前登録が必要な「TSA PreCheck」利用者に限定されている。この制度を利用できない旅行者にとっては、依然として長時間、待つことも多い。
こうした状況を踏まえ、筆者はアメリカの空港を利用する際には、出発の2時間半前には到着することを心がけている。保安検査さえ通過してしまえば、その後はラウンジでの滞在や空港内のレストラン、カフェでの時間を楽しむ余裕も生まれる。
今後アメリカを訪れる際には、最新の空港情報を事前に確認することが重要だが、現時点では一時期のような「数時間待ち」といった極端な混雑は解消されつつある。過度に不安視する必要はないものの、アメリカの保安検査事情を理解した上で、余裕を持った行動を心がけることがより大切だろう。
(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師




