タップ、ホテル・旅館向けセミナー「宿泊業の規制緩和の動向~18年6月施行の改正旅館業法、民泊新法をはじめとして」開催


 宿泊施設向け総合ITシステム会社のタップは10日、参加費無料のホテル・旅館向けセミナー「宿泊業の規制緩和の動向~18年6月施行の改正旅館業法、民泊新法をはじめとして~」を横浜市内で開いた。宿泊施設などから約70人が参加した。

 講師は、御堂筋法律事務所の弁護士で、観光庁観光産業課に2年間出向し、住宅宿泊事業法(民泊新法)の立案に携わった谷口和寛氏が務めた。

 谷口氏は、従来の宿泊業規制について「旅館業法の法目的は、衛生、安全の確保であり、産業育成は目的外。また、衛生などの確保のため、厳格かつ詳細な構造設備基準を設定していた」と指摘。その上で、規制緩和の背景について「取り締まりの網をかいくぐるヤミ民泊の増加で、既存制度、運用体制の限界が露呈。過剰規制の見直し、多様な宿泊ニーズへの対応、健全なサービス普及のための規制緩和の必要性が高まった」と解説した。

 エアビーアンドビーについても言及。「(当時の)違法民泊を既成事実として推進し、市民権を得つつあった“シェアリングエコノミー”の御旗のもとに外圧などを利用。新しいタイプのロビー活動を展開した」と当時を振り返った。

 住宅宿泊事業法の概要については、「プラットフォーマーである住宅宿泊仲介業者は観光庁長官に登録、ホストである住宅宿泊事業者は都道府県知事に届け出、ホスト不在型の場合に管理を受託する住宅宿泊管理業者は国土交通大臣に登録がそれぞれ必要と定めた。シェアリングエコノミー推進を目的に創設した制度ではないが、シェアエコ法制度のモデルケースになると指摘する学者もいる」と説明した。また同法2条3項にある「年間営業日数は180日以下」の解釈について、「歴日ではなく、正午から正午を1日とカウントするため『180泊』が上限。毎年4月1日の正午から翌年4月1日の正午までの1年間で計測し、超えた場合は旅館業法違反で上限100万円の罰金となる」と解説した。

 改正旅館業法のポイントには、(1)ホテル営業および旅館営業の営業種別を統合し、旅館・ホテル営業としたこと(2)違法民泊の広がりなどを踏まえ、無許可営業者に対する規制を強化し、都道府県知事などに立ち入り検査などの権限を与えたこと(3)旅館業の欠格要件に暴力団排除規定などを追加したこと―を挙げた。

 今回の規制緩和について谷口氏は「民泊を契機とする一連の検討の中で、本丸である旅館業法令の規制改革も一定の範囲で実現した。旅館業法令に関しては、国レベルでの規制緩和はいったん完了。地方自治体がどこまで柔軟な運用を認めるかに引き続き注目が必要」とまとめた。

 また、参加した宿泊事業者に対して「特区民泊、住宅宿泊事業、改正旅館業法それぞれにメリット、デメリットがある。制度内容を理解の上、計画する宿泊施設に適したライセンスを取得していただきたい」とアドバイスした。

 住宅宿泊事業法は施行3年経過後(21年6月)に見直しが予定されている。


講師の谷口弁護士

 
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