エアトリの「現在と未来」 エアトリ 代表取締役社長兼CFO 柴田裕亮氏に聞く


柴田氏

CVC好調、新たに地方創生伸ばす

 2020年9月期の決算発表時に成長戦略「エアトリ“リ・スタート”」を発表し、多角的な事業展開の推進を行うなど、戦略的にエアトリ経済圏の強化を進めるエアトリ。22年9月期には25・5億円の営業利益を確保し、22年12月26日にはエアトリグループ初となる統合報告書「エアトリ 統合報告書2022」を公開している。同社の柴田裕亮社長に現状について聞いた。(1月18日に東京都港区のエアトリ本社で。聞き手は本社・長木利通)

 ――現状について。

 「リ・スタートの途上にあるが、コロナ禍の影響など市場の不確実性は着実に減っている。国内旅行領域は、ビジネス需要のほか、全国旅行支援の影響でレジャー需要が回復し、コロナ禍前まで戻ってきた。ITオフショア開発事業、訪日旅行事業・Wi―Fiレンタル事業、投資事業(エアトリCVC)も好調だ」

 ――コロナ禍の影響は続くか。

 「第8波の影響は以前ほどではないがやや大きかった。以前多かった間際の予約が伸び悩んだ」

 ――人的体制は。

 「エアトリグループで、コロナ禍前は約1500人だったが、今は952人(22年12月時点)と減っている。だが、幅広い専門性ある人材が多角的な事業展開を支えるなど、バランスが取れた組織体制となっている」

 ――オーガニック粗利益が過去最高水準に。

 「コロナ禍前から25%増と伸びている。コロナ前にマーケティングをし、認知度を獲得した。そのお客さまが戻っている。また、コロナ禍でも開発を止めずに改善活動を継続してきた」

 ――クロスセル率はコロナ禍前から倍増だが。

 「以前は航空券の販売が中心だったが、航空券とホテルがセットで購入できる『エアトリプラス』は好調に推移している」

 ――今後、旅行事業では何を伸ばしていくか。

 「昨年10月からハイエンド層向けの新サービスとして、ワンランク上の滞在を体験できる高級ホテル・高級旅館を提案する『エアトリプレミアム倶楽部』を始めた。高付加価値サービスの提供は伸ばしていきたい」

 ――宣伝について。

 「粗利に占める広告費がコロナ禍前は45%ぐらいあったが、今は30%ぐらいに抑えている」

 ――UI、UXの向上に向けては。

 「コンバージョンレート(CVR)を高めることをKPIとし、お客さまが迷わない動線づくり、検索スピード、在庫をタイムリーに出すこと、見やすさ、使いやすさなど、日常的に改善、進化を行っている」

 ――3月2日にはエアトリCVC初となる「エアトリCVCアワード」を開催するが。

 「アワードでは、投資先を中心とした皆さまの交流・情報交換の場として、また投資先の中で、直近にIPOした企業と、特に成長、活躍した企業を表彰する。投資事業は大きく実績が出てきており、これまでに11社が上場している。毎年利益貢献としてもコンスタントに貢献している」

 ――取扱高における旅行事業の割合は。

 「取り方にもよるが、約7、8割を占めている。今後は、さらに旅行以外の事業も押し上げていく」

 ――六つ目の事業として、新たに地方創生事業を9月に立ち上げたが。

 「全国的に観光客不足や来訪者へのサービス不足が続いている。これまでに北海道、沖縄への送客実績があるが、会員基盤を生かした全国に向けたプロモーション支援、アライアンスの強化によるパイプラインの構築、DXを活用した人的支援などを行っていく」

 ――観光・旅行業界の現状について。

 「消費者がインターネットを使う形へのシフトが加速しており、この傾向はさらに進むはずだ。海外旅行は為替、水際対策、資源高騰などの課題が残り、厳しさはしばらく残るだろう。一方、国内は、温泉などのリゾート地や、北海道、沖縄、離島といった場所での需要は高いレベルで推移すると予測している」

柴田氏

 
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