【道標 経営のヒント 158】ペット宿の進化 行燈旅館館主 石井敏子


 今年の夏は本当に暑かった。毎日汗だくで掃除しているおかげで夏バテはしなかったのだが、9月に入り少し涼しくなって気が緩んだせいか、または気象の変化が激しいためなのか、どうも今いち体の調子が悪い。

 自宅で11年前からトイプードルを飼っている。東日本大震災の後にこのトイプードルが子供を授かり、現在親子で2頭飼っている。この暑い夏はわが家の親子犬たちにも辛い夏となった。食欲がなくなって元気のない日が数日あった。そこで暑い東京を出て伊豆高原と山中湖で一緒にしばしの休暇をとった。忙しくて十分遊んであげられない私の罪滅ぼしでもある。

 10年前に比べると今ではかなり選択肢が広がり、犬連れでも本当に楽しめる時代となった。レストランもフルコースあり、旅館の部屋食までいろいろな意味で一般のお客さまたちとほとんど変わらないサービスが受けられるようになったのは愛犬家として本当にうれしいことだ。

 ペット宿もオーナーさんの個性がとても出る。食事の時に自己紹介をしたり、ドッグトレーナーさんがイベントとしてゲームをしてくれたり、滞在中も飽きさせない工夫が満載だ。私はだいたい2連泊して、朝の散歩に始まり、散歩後のシャンプー、近隣の観光、パソコンを持ちこみ部屋で仕事をしていたり、本を読んだりあっという間に時間が過ぎる。夕食時レストランで出会うワンちゃんや家族を見て過ごすのも楽しみの一つだ。さらに食事がおいしいと気分も最高だ。

 ペット宿で一番気になるのはやはりお部屋のにおいだ。わがままな話だが、自分の犬のにおいは気にならなくても前夜泊まった他の犬のにおいが一番気になる。じゅうたん敷きの部屋は消臭剤なども用意しているのだが、やはりここは思い切ってタイルかビニールの床にしたらどうだろう。水で流して洗えるくらいの雰囲気にしてくれると、見た目は少々寒々しくても、清潔感もあり、自分の犬が万が一そそうをしたとしても洗い流せたら自分も気持ち良いし、私だったらリピートの絶対条件になる。

 わが家の親子犬はペット宿から帰るとやっとお役目が終わったとばかりに1日ぐったり寝てばかりいる。実は親子犬は車が嫌いなのだ。これでは飼い主の思いとは裏腹なのだが、私にとっては自宅を離れ長い1日を一緒に過ごすのはとても良い休養となる。次回はどのペット宿に連れて行くか今から楽しみにしている。

 
新聞ご購読のお申し込み

注目のコンテンツ

Facebook
X(旧Twitter)
YouTube
Instagram

第37回「にっぽんの温泉100選」発表!(2023年12月18日号発表)

  • 1位草津、2位下呂、3位道後

2023年度「5つ星の宿」発表!(2023年12月18日号発表)

  • 最新の「人気温泉旅館ホテル250選」「5つ星の宿」「5つ星の宿プラチナ」は?

第37回にっぽんの温泉100選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月1日号発表)

  • 「雰囲気」「見所・レジャー&体験」「泉質」「郷土料理・ご当地グルメ」の各カテゴリ別ランキング・ベスト100を発表!

2023 年度人気温泉旅館ホテル250選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月22日号発表)

  • 「料理」「接客」「温泉・浴場」「施設」「雰囲気」のベスト100軒