【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 630】平凡な施設の集客法3 青木康弘


青木氏

 前回に引き続き、平凡な施設をいかに魅力的な施設に変えていくかについて説明したい。コンセプトを明確化して差別化を図るというのが良いとされているが、個性のはっきりした施設は少数だ。多くの経営者は、自社の施設は平凡で特色なく集客しにくいと悩んでいる。

 自施設の特色をアピールしにくいならば、周辺の観光施設や自然資源を活用して差別化を図ると良い。改装していない旅館・ホテルの和室はウェブ上の写真で見ると似たり寄ったりで、特に旅慣れない消費者は区別することができない。

 そのため、1件でも予約を増やすために、リスティング広告の出稿や、より見栄えの良い写真をプロカメラマンに依頼するための予算競争になりがちだ。地域のどの施設も一定以上の予算をかけているならば、効果は限定的だろう。他の手段も組み合わせるのが賢明だ。

 周辺の観光施設とのタイアップを集客に結びつけるならば、他の宿泊施設では提供していない限定プランの販売を行うと良いだろう。バックヤード(裏側)ツアーや特別な特典、貸し切り等のオプションをつけたVIPツアー、仕事体験ツアーなどユニークでインパクトがあり、他の施設が提供していないものが良い。大型の観光施設だと特定の宿泊施設と独自プランの企画はやらない可能性があるので、小規模で相性の良いオーナー経営者のいる施設を対象とすることをお勧めする。

 自然資源が豊かな地域であれば、星空ツアーや夜の街歩きツアー、写真スポットの案内などを宿泊プランに組み込むと良い。少人数の催行でも構わない。ユニークなアクティビティを独自に行っている施設というイメージができるだけで宿泊者数のアップにつながる。

 人手がいないため対応できないと考えるのはもったいない。集客につながれば新規採用しても問題ないだけの利益を上げることができる。

 設備投資の調達が難しければ、まずは周辺の観光施設や自然資源を活用して売り上げアップに取り組みたい。

 (アルファコンサルティング代表取締役)

 
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