【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 628】平凡な施設の集客法1 青木康弘


青木氏

 コロナが収束に向かいインバウンドの復活も見込まれる中で、以前のように集客できるだろうかと不安の声をよく聞く。営業マーケティング活動を行う中で課題となるのが、施設の魅力をどのように伝えるかということである。

 教科書的には、コンセプトを明確化して差別化を図るというのが良いとされているが、個性のはっきりした施設は少数だ。多くの経営者は、自社の施設は平凡で特色なく集客しにくいと悩んでいる。今回コラムでは、平凡な施設をいかに魅力的な施設に変えていくかについて説明したい。

 施設の魅力を高めるにあたって、初めに取り組むべきことは、誰のための施設かを明確化することだ。口コミ評価の分析を行うとよく見られる傾向であるが、同じ施設でも年齢層によって評価点は大きく異なる。

 若いカップルやファミリーから絶大な評価を得ている施設でも、旅慣れた客や年配層からは厳しい評価が続くことがある。同一のサービスでも、客層によって満足度は大きく異なる。万人に支持される施設となって、あらゆる客層から売り上げを獲得したいという願望はあきらめた方が良い。

 一見すると当たり前のことであるが、施設のリニューアルを計画する場面で認識不足が露見される。

 内装のレイアウトやデザイン、客室備品、料理メニュー、売店商品を経営者自身の好みだけで選んだり、ワーケーション用のブースなどをはやりだけで設置したり、誰向けの施設にするか曖昧なまま進んでしまうことがある。このような中途半端な取り組みで魅力的な施設を作ることはできない。

 客室数が多く、単一のターゲットを狙うだけでは安定した稼働を行うことが難しい大型施設は、棟またはフロアごとに客層を分けると良い。ただし、複数の客層を同時に受け入れていく運営のやり方は、人手や経費がかかり非効率となりやすい。老朽化した棟から段階的に取り壊しを行って、客層を絞っていくことをお勧めする。

 (アルファコンサルティング代表取締役)

 
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