前回に引き続き、お金をかけずに日々の業務を効率化する方法を紹介しよう。観光業でもDXが注目されるようになったが、高額なシステム導入費用がネックとなり取り組みに躊躇(ちゅうちょ)してしまう。予約業務は効率化したが、日々の業務は昔のままで全く効率化が進んでいない施設は少なくない。
(6)運営コストを考慮した設備投資を行う
設備投資を検討する際に、運営時の手間やコストを考慮しているだろうか? 設計事務所や設備メーカーの言いなりになった結果、日常業務の生産性が落ちてしまったというケースは少なくない。
見栄えや最新技術の導入にこだわりすぎず、生産性向上という真の目的が達成できるかよく検討したい。
検討にあたって最も気をつけるべきことは、スタッフ配置(ポジション)を減らせるかである。生産性とは労働投入時間に対する売り上げや処理件数等の成果の比率なので、必要スタッフ数が少なければその分生産性を向上することができる。
例えばレストランの改装では、死角を少なくしたり、配膳、下膳の動線を短くしたり、レジ会計の方法を変更したりするなどでスタッフ配置を減らすことができる。
レストランの改装を考える際には、運営スタッフは何人必要になるのか配置場所を平面図上で入念に検討しておきたい。
お客さまがどのような行動をとるか想定しておくことも大切である。館内サインやフロント、受付の配置や色使いによってお客さまの行動は大きく変わる。お客さまが館内で迷うようだと案内のためのスタッフが必要になったり、館内売り上げが伸び悩んだりという問題が発生する。見た目のデザインだけでなくお客さまの想定行動を考慮しながら配置を決めたい。
最近、旅館・ホテルで導入が進んでいるセルフチェックインシステムも同様の問題が発生しやすい。自動チェックイン機を導入したのにお客さまが有人フロントに来てしまう、操作のための説明スタッフが必要になるといったことが起きないよう注意したい。
(アルファコンサルティング代表取締役)