【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 596】2022年に取り組むべきこと 青木康弘


青木氏

 前回に引き続き、2022年に取り組むべきことを紹介したい。21年は新型コロナ対策に翻弄(ほんろう)された1年だった。早期の収束が期待されたが一転、回復の兆しも見えないまま1年が過ぎ去ってしまった。今年こそは逆境をチャンスに変える1年としたい。

 3、事業者連携により面的再生を目指す

 コロナ禍により観光に携わるさまざまな事業者が廃業や撤退、事業縮小などを余儀なくされ、観光地の刃こぼれが発生している。一部の旅館・ホテルがにぎわっていても、目の前の観光商店街はシャッター通りとなってしまっていては、元通りの観光地の姿に再生するのは難しい。

 宿泊施設が予約獲得してもそれを支える取引業者がいないと本格的な営業再開はできない。また、周辺の土産店や娯楽施設、飲食店、観光施設等が営業していないと集客力低下につながる。鉄道やバス、タクシー会社が減便すると地域の入り込み客数に直接の影響を与える。

 このような問題はいま全国各地で発生している。旅館・ホテルの経営者は地域の観光団体のトップを兼任していることが多い。リーダーシップを発揮し他業種も巻き込んだ面的再生を推進していくことを期待したい。自社の業績改善で手一杯と考える経営者は多いと思うが、地域が地盤沈下していては自社の再生もおぼつかない。

 幸いにして、行政は地域の事業者が連携した取り組みをバックアップする仕組みを整えている。昨年度の観光庁予算の目玉であった、既存観光拠点の再生・高付加価値化推進事業は、今年も予算を増額して実施される予定だ。

 宿泊事業者を中心に、観光施設や交通事業者等と連携して、地域の観光再生計画を立案し申請することになるだろう。窓口は自治体やDMOが担う可能性があるが、実態としては宿泊事業者がリーダーシップを発揮していく必要がある。

 次世代を支える若い経営者が中心となって面的再生を推進し、新型コロナ流行以前よりもさらに魅力的な観光地作りにリーダーシップを発揮することを期待したい。

(アルファコンサルティング代表取締役)

 
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