【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 586】コロナ小康期の業績アップ法1 青木康弘


青木氏

 全国で緊急事態宣言が解除され、観光地に人が少しずつ戻ってきた。観光客数の回復率は地域によってまだら模様であり、客層によっても大きな差がある。恩恵を受けていない施設も多いが、もうしばらくの辛抱だ。今回コラムでは、コロナ小康期に業績アップに向けて取り組むべきことを紹介したい。感染者数の抑制が続くと、雇用調整助成金や補助金、融資制度が打ち切られることが想定される。そうなる前に業績の正常化を図りたい。

 1、宿泊費補助制度の影響を考慮した料金設定とする

 観光客が増えてくると、過去の赤字を取り返すために宿泊単価を引き上げたいと考える旅館・ホテルの経営者が多いと思うが、しばらくは県民割等の行政の支援策により市場価格は低く抑えられることになるだろう。多くの自治体が採用している、宿泊費の半額、5千円まで補助という設定は、地域の宿泊単価を引き下げることにつながる。消費者は最も割引率が高くなる1万円程度のプランを選択するからだ。ビジネスホテルを除き、1人1万円の宿泊単価で利益を確保できる施設はごく少数だろう。差別化された高級路線の施設を除き、多くの施設が通常より低価格での販売を余儀なくされる。

 旅館・ホテルが取りうる対策としては、消費者にとって割引率が最も高くなる料金設定としながら、料理内容やサービスの調整によって料飲原価や経費の圧縮を図ることである。県民割の割引枠とは別に、施設独自の商品サービスを割引価格で提供しても良い。閑散期の売り上げアップにつながるだろう。

 感染の鎮静化が続くと、年末年始から春先にかけて急速に予約が回復していくことが予想される。予約の進ちょくに合わせて、販売価格の見直しを柔軟に行うことをお勧めする。宿泊日が近づいてから直前割などの名目で宿泊単価の引き下げを行うと、お客さまに不信感を与えることになる。

 県民割等の影響もあるので当初は低い料金で販売開始し、予約状況を見ながら年末に向けて少しずつ値上げしていくことで利益を確保したい。

(アルファコンサルティング代表取締役)

 
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