【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 585】事業再構築補助金の計画書13 青木康弘


青木氏

 前回に引き続き、通常枠の採択率100%だった弊社の事業計画作成ノウハウを生かして、採択率の高い計画書を作るコツを紹介しよう。紹介する項目の順番に沿って作成すれば完成するのでぜひチャレンジしてほしい。

 23、採択日までに取り組むべきこと

 補助金申請が採択されたからといって安心はできない。そこからが本格的な新規事業の取り組みのスタートとなる。補助事業の実施期間は、採択から14カ月以内と大変短い。今回の補助金は建築・設備工事を前提とするため、事業企画や設計に時間をかけているとあっという間に時間が過ぎ去ってしまう。

 これまで本業以外の事業に取り組んだことがなかったり、社内に事業企画の経験豊富なスタッフがいなかったりする場合は注意したい。皆さまの想定以上に事業内容の具体化に時間がかかるだろう。

 実際に、第1回公募で採択された事業者の中にも、4カ月近くたっていまだ交付申請に至らないケースが散見される。今は第3回公募の結果を待つ事業者が多いと思われるが、結果を待つことなく取り組めることは先に着手することをお勧めする。

 時間を要するのが、改装後の建物の間取りや家具の配置、機械設備の選定である。特にパブリックや客室を他事業へ転用することを予定している場合は、今のうちから具体化作業を進めることをお勧めする。デザインを伴う場合には、デザイナーの選定や内容についての協議をスタートさせても良い。

 宿泊業や観光業と関連のない新規事業に取り組むことを計画している事業者は特に注意したい。頭で分かったつもりになっていることと実務は大きく異なる。

 慣れない新規事業に取り組む場合、機器の選定一つにも悩むことになる。心配ならばその業界に詳しい専門家の協力を得て進めることをお勧めする。関係者でプロジェクトチームを組成し、週1回か2週に1回のペースでスピード感を持って取り組むことをお勧めする。

 無事採択されたら事前着手申請は必ずしておきたい。事業内容の具体化、企画、設計は時間がかかる。事前着手の承認を得ていないと交付決定を受けるまで契約等の行為ができなくなり業務実行に支障をきたす。忘れずに申請することをお勧めしたい。

 (アルファコンサルティング代表取締役)

 
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