【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 569】休館中に取り組める未来の1歩 4 青木康弘


青木氏

 前回に引き続き、休館中でも取り組める施策を紹介したい。新型コロナウイルス感染症の再燃により、ゴールデンウイーク明けから休館を余儀なくされている施設は少なくない。いつ終息するのかと気をもむ日々を過ごすのは辛いものである。今のうちからアフターコロナに向けた準備を進めておきたい。

 7、複数施設で共通した取り組みで集客する

 アフターコロナにおける運営方針を決めるのに参考にしたいのが、自治体が作成する観光統計、マスタープランである。エリアごとの観光入込客数、観光消費額のほか、変動要因や課題、取り組み施策についてまとめられている。

 皆さまの施設が所属する地域の入込客数が中期的に見て、増加トレンドにあるのか、あるいは減少トレンドにあるのか把握することをお勧めする。また、県内や近隣都道府県の他の観光地と比べて、集客力が優位にあるのか、それとも劣位にあるのか確認してほしい。

 観光入込客数が中期的にみて減少トレンドにあったり、近隣の他の観光地と比べて相対的に落ち込みが大きかったりする場合には、自施設だけの努力で集客し、業績アップしていくのは難しい。近隣の施設と連携して、アフターコロナの消費者嗜好に合った取り組みを準備したい。

 特に、近年流行している体験型観光、滞在型観光は、アクティビティ等を全て内製化できる大手チェーンを除いて、単独で取り組んでも成果があがるものではない。休館中の時間を活用して、近隣施設とコンテンツ作りを準備しよう。

 例えば、地域の複数の館で、ローカルガストロノミーなど共通テーマの料理づくりや生産者との連携に取り組んだり、ノルディックウオーキングやSUPなど体験プログラムを組み合わせたプラン販売に取り組んだりすることが考えられる。複数の施設で取り組むことで、消費者の目にも留まりやすくなり、観光地の新たなイメージづくりにも役立つだろう。

 アフターコロナでは、地域間競争はますます激しくなる。旅館組合の有志からのスタートでも構わないので、選ばれる観光地となるよう一日も早く取り組みをスタートしたい。

 (アルファコンサルティング代表取締役)

 
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