【交通トレンド分析331】燃油サーチャージを導入する場合としない場合の違い 鳥海高太朗


鳥海氏

 航空券の価格に追加で徴収される形となっている燃油サーチャージ。航空燃油価格の高騰による費用増の一部をお客さまにご負担いただくという趣旨で設定している。主に国際線を中心に設定され、ANAやJALの国際線では、ジェット燃料の市況となるシンガポールケロシンの取引価格を円換算した額に応じて2カ月ごとに改定している。

 ただ車のガソリンと異なり、市況価格がすぐに反映されるのではなく、燃油サーチャージは3~4カ月遅れて徴収額に反映されるルールになっている。実際にANAやJALにおける4月・5月発券分の燃油サーチャージは2025年12月と26年1月の市況が反映されていることから、まだホルムズ海峡が封鎖される前であり、燃油サーチャージだけ見ると影響は出ていない(ただし航空券自体の価格が上がっている区間もある)。

 6月・7月発券分については、2月・3月の市況で決まることから、ホルムズ海峡閉鎖前の2月と閉鎖後の3月であり、燃油サーチャージの徴収額は欧米路線で現在の片道3万円程度から5万円強に上がる見込みであるが、8月・9月については4月・5月の市況で決まることから、今回の問題が終結しない限りはさらに上がることになる。

 このような状況のなかで、そもそも燃油サーチャージを設定していない航空会社もある。それがJALグループの国際線中長距離LCCのZIPAIRだ。ZIPAIRは2020年の就航以来、一度も燃油サーチャージを設定しておらず、今後も徴収しない方針である。これは航空会社の考え方次第であり、ジェット燃料の価格高騰分も含めて運賃に反映しているという考え方なのだ。

 現在の航空券は基本的に「ダイナミックプライシング」という空席連動型の運賃で、予約状況や需要予測に応じて運賃が上下変動しているが、運賃自体にジェット燃料の高騰分も含めていることで利用者にとってわかりやすい形にしている。ZIPAIRにはマイレージを使った特典航空券はないので(ZIPAIRポイントという航空券に充当できるポイント制度はあるが)、このような仕組みが可能であると考えられるが、ANAやJALでは特典航空券利用も多く、特典航空券利用者からも燃油サーチャージであれば高騰分を徴収することができるメリットがあるほか、他社との乗継を含めた航空券も販売していることから、燃油サーチャージを設定することが望ましいだろう。

 こういったことも含め、設定するかしないかはまさに航空会社次第であり、国内線での導入の動きもあるなか、ジェット燃料が高騰している以上は利用者の負担増だけは免れなさそうだ。

(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
 
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