【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 541】コロナを考慮した事業計画11 アルファコンサルティング代表取締役 青木康弘


 前回コラムに引き続き、新型コロナの影響が続く中で銀行向けの事業計画を策定する方法を紹介しよう。お盆休みの週は多忙を極めた旅館・ホテルが多かったが、夏休み以降の業績見通しが立たないという声も聞く。継続的な資金繰り支援を受けられるよう万全な対応をしたい。

 10、目先の新型コロナ対策だけでなく「2025年問題」に備える

 来年1月までの期限となっていたGo Toトラベルは、ゴールデンウイークまで延長されそうだ。恩恵を受けている施設にとって朗報だが、いつまでも続くものではない。終了の反動で稼働の落ち込みが懸念されているので今のうちから手元資金を厚くするなど準備しておきたい。

 新型コロナ対応の喧騒でおざなりになってしまっているが、今のうちから対処しなければならないのが「2025年問題」だ。2025年問題とは、いわゆる団塊の世代が後期高齢者である75歳に達し、医療や介護などの社会保障費の急増が懸念される問題のことを言う。観光業界においては、シニア顧客の減少と高齢スタッフの退職という問題に同時に対処しなければならなくなるという意味で大変重要な課題である。

 ほんの10年前までは、旅行意欲の高い団塊世代は旅館・ホテルの主要ターゲットとして期待が寄せられていたが、その需要もあと5年たたずに急速に縮小していく。18年から25年の7年間に65歳から74歳の前期高齢者は15%も減少すると予測されている。売り上げの大きな部分を老人会やシニアのグループ客に依存している施設は、一刻も早くターゲット層を見直したい。

 高齢スタッフの退職にも対処していく必要がある。旅館・ホテル業界は他業界と比べて労働力をシニアに依存する割合が高い。客室係や清掃、調理補助は、元気なシニア層に支えられてきたと言っても過言ではない。運営を下支えしてきたスタッフもあと数年でリタイアすることになる。労働力の絶対数が減少するため、求人広告を出しても容易に集まるものではない。今のうちから、若年層でも働きやすい職場づくりや生産性向上を図りたい。

(アルファコンサルティング代表取締役)

 
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