【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 535】コロナを考慮した事業計画5 アルファコンサルティング代表取締役 青木康弘


 前回コラムに引き続き、新型コロナの影響が続く中で銀行向けの事業計画を策定する方法を紹介しよう。お盆休みの週は多忙を極めた旅館・ホテルが多かったが、9月以降の業績見通しが立たないという声も聞く。継続的な資金繰り支援を受けられるよう万全な対応をしたい。

 4、新型コロナ対策を集客につなげていることを計画書に盛り込む

 感染予防対策は政府の指導により取り組まなければならないことであるが、出費がかさむのが悩ましい。3密を避けるための設備投資や消毒のための消耗品購入、スタッフの労働時間増加など、新型コロナ流行前と比べて格段に支出がかかる。客室リニューアルなど前向きな投資と違って、売り上げアップにつながらない余計な出費と否定的に捉える施設は多い。

 しかしながら、旅行者の動きをみると換気が良く衛生対策が行き届いているイメージのある一部の施設やグランピング等の屋外アクティビティを併設した施設に予約が集中していることが分かる。そのような施設であっても顧客が集中すれば3密の環境が作られやすいが、それでも予約が後を絶たないというのは、いかに消費者がイメージに左右されやすいかという証左である。

 感染予防対策をやらされ感ではなく、集客PRのための施策として取り組んでいきたい。どの施設のウェブサイトでも掲載されているような感染症対策の説明文だけでなく、換気の良さが連想でき、来館したくなるような写真やイメージを多用すると効果的だろう。

 銀行の担当者も消費者の1人である。一般消費者と同じような視点で施設を評価する。担当者がウィズコロナ、アフターコロナ時代であっても泊まりにいきたいと思えば、今後の設備資金、運転資金の申し込みについて前向きに検討してもらえる可能性が高い。

 事業計画書に衛生対策を列挙するだけでなく、魅力を感じてもらえる写真やイメージを盛り込むと良いだろう。皆さまの旅館・ホテルが新たな価値観や嗜好にあった施設を目指していると理解してもらえるようにしたい。

 (アルファコンサルティング代表取締役)

 
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