前回コラムに引き続き、新型コロナの影響が続く中で銀行向けの事業計画を策定する方法を紹介しよう。お盆休みの週は多忙を極めた旅館・ホテルが多かったが、9月以降の業績見通しがたたないという声も聞く。継続的な資金繰り支援を受けられるよう万全な対応をしたい。
2、銀行の発言から計画策定の狙いを理解する(続き)
融資に後ろ向きとなる理由として、新型コロナ流行前からの経営不振を挙げる金融機関は少なくない。取引銀行から「融資はなかなか難しい。事業計画を出してもらわないと判断できない」という発言があった場合には、従来からの経営不振について問題視されている可能性が高い。
新型コロナ対策融資の中には、責任共有制度対象外(100%保証)がある。つまり返済できなくなっても銀行の損失は発生しない。それにも関わらず融資に前向きでないというのは、理屈ではなく心情的な問題がある。このような場合には、先に政府系金融機関や保証協会へ相談し、融資を取り付けることをお勧めする。銀行が事業計画の提出を求めるのは、あくまで謝絶するための方便である。提出しても計画の実現可能性を突かれ、融資に前向きな回答を得られるわけではないことに注意しよう。外堀を埋めてから改めて融資の打診を行いたい。
同じような謝絶でも交渉の余地がないものがある。「貴社に対して過去に債権放棄をしたことがあるので、融資できない」と政府系金融機関に言われたら、諦めるしかない。制度上の対象外となるため、他の条件をクリアしていても融資を受けることはできない。
このような場合は、他の制度を利用できないか検討してみよう。例えば、日本政策金融公庫では、過去に債権放棄を受けていても、国民事業、中小企業事業、農林水産事業といった組織区分が異なれば融資を受けられることがある。
提出する事業計画は、数年後の返済再開が可能となるように売上利益を設定しながら、短期的な資金繰りは保守的に作成し、可能な限り多くの融資が受けられるようにしたい。
(アルファコンサルティング代表取締役)