【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 532】コロナを考慮した事業計画2 アルファコンサルティング代表取締役 青木康弘


 前回コラムに引き続き、新型コロナウイルスの影響が続く中で銀行向けの事業計画を策定する方法を紹介しよう。お盆休みの週は多忙を極めた旅館・ホテルが多かったが、9月以降の業績見通しが立たないという声も聞く。継続的な資金繰り支援を受けられるよう万全な対応をしたい。
 2、銀行の発言から計画策定の狙いを理解する

 新型コロナの影響が続く中で、銀行から事業計画の提出を求められたら、皆さまの会社に対して、どのような取引方針を定めているのか言外から理解しておきたい。

 例えば、取引銀行から、「今後も新型コロナの影響があると思うので、稼働率20%が来年3月まで続いたと仮定した場合の事業計画を提出してほしい」と依頼を受けたとしよう。この場合は、銀行は皆さまの会社を大切な取引先として、しっかりと支援していこうという意思があることが推測される。

 稼働率20%が続けば、赤字を穴埋めするための追加融資が必要となる。それでも提出を求めているのは、追加融資額を把握しておきたいという心積もりがあるということだ。この場合に提出する事業計画は、依頼通り稼働率を20%に設定し、努力可能な範囲で経費削減策を盛り込んだものを提出すると良いだろう。

 注意しなければならない別のケースもある。「当行だけで融資希望額に全て対応することは難しいので、事業計画を提出してほしい」とメイン行から言われたら、どのように理解すべきだろうか。この場合は、赤字資金でも融資する意思はあるものの、希望額に全て答えることはリスクがある。他の銀行からも融資を引き出すために事業計画を出してほしいという意図が見え隠れする。

 この場合に提出すべき事業計画は、新型コロナ終息後に早期の返済再開が可能となるものであることが望まれる。短期的には赤字が続くが、その後急速に業績回復し数年内に赤字資金も含めた借り入れ返済が開始できる計画を求めてくるだろう。赤字を最小限とするために、踏み込んだリストラ策を盛り込むよう指導されることもある。

 過度なリストラ、経費削減によって施設の強みが失われないよう注意したい。

 (アルファコンサルティング代表取締役)

 
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