【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 531】コロナを考慮した事業計画1 アルファコンサルティング代表取締役 青木康弘


 Go Toキャンペーンや夏休み期間が短縮された効果により、お盆休みの週は多忙を極めた旅館・ホテルが多かったようだ。短い期間とはいえ観光地に活気が戻ってきたことは喜ばしいことである。一方で、予約を受けてから宿泊するまでの日数(リードタイム)が短縮化したために、9月以降の業績見通しがたたないという声も聞く。これから開業を計画している施設はなおさらだろう。今回コラムでは、新型コロナウイルスの影響が続く中で銀行向けの事業計画を策定する方法を紹介しよう。

 1、公的機関による終息予想で理論武装する

 新型コロナの終息時期について正確に予測するのは難しい。ワクチンや治療薬の入手、集団免疫の獲得がいつになるか分からないからだ。そのため、銀行の担当者によっても見解が大きく異なる。早期に終息すると楽観的に考えて融資に協力的な担当者もいれば、新型コロナの影響が長期間続くと考えて融資に後ろ向きな担当者もいる。

 複数行から協調融資を受ける際に、新型コロナの終息時期に対する見解の相違があると必要な資金が集まらず、新規開業や資金繰りに支障をきたす。このような銀行間の認識のズレが発生しそうな場合には、公的機関が公表する終息予想を資料にまとめて理論武装をすると良いだろう。

 例えば、米大学研究機関は終息時期を2021年9月~22年3月と予想している。東京大学保健センターは22年まで再流行が発生すると予想している。国際航空運送協会は、新型コロナ流行前まで需要回復するのは、国内線は22年、国際線は24年と予想している。

 このような各機関の予想を踏まえるならば、インバウンド比率が過度に高い施設を除いて、23年に売り上げが例年並みに回復するという計画が納得感を得やすい。それまでの期間は、過去の平均実績に対する比率(回復率)を掛けて、段階的に回復するというシナリオを描くと良いだろう。

 例えば、20年末までの売り上げが前年同月比で30~50%と仮定すると、21年は50~70%、22年は70~90%、23年は90~100%の幅を目安に設定すると良い。

 このような予測は、環境変化によって大きく見直される可能性があるが、現段階で事業計画を提出する必要があるならば、現段階で得られる開示資料を添付して合理的な予想を示すことをお勧めする。

 (アルファコンサルティング代表取締役)

 
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