【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 523】アフターコロナ時代に取り組むべき施策5 アルファコンサルティング代表取締役 青木康弘


 前回に引き続き、アフターコロナ時代に取り組むべき施策について紹介しよう。新型コロナウイルスの感染抑制を目的とした強烈な自粛要請や衛生指導は、消費者の生活様式や価値観、嗜好を大きく変えてしまった。従前のコンセプトや運営方針、商品サービス、ハード設備では宿泊者の満足が得られない可能性がある。早めに対策を講じて良いスタートを切りたい。

 10、会議・宴会の規模縮小トレンドに対応する

 旅館・ホテルの会議・宴会は、新型コロナウイルス流行に伴う行動様式・価値観の変化により規模縮小する可能性が高い。参加者が遠くから足を運ばなくてもウェブ会議で済むことに気づいてしまったからだ。特に規模縮小する可能性が高いのが、講演会やセミナー、総会、計画発表会、展示会などである。

 ウェブ会議システムを利用すれば、遠隔地でも会場参加に近い臨場感で情報を得ることが可能となった。今後はウェブでの参加希望が主催者に寄せられるケースが多くなるだろう。

 同様に規模が縮小される可能性が高いのが、毎年慣習的に行われてきた懇親会や会食、定例会である。前例踏襲的に毎年同額の予算で開催されてきたものが、新型コロナウイルス流行に伴う自粛要請によりリセットされてしまった。今回の中止を機に今後の開催を見直す団体もあるだろう。

 こういった環境変化のなかで売り上げを着実に回復させていくためには、きめ細やかなニーズを把握し対応することが大切だ。

 例えば、主要なウェブ会議システムに対応した高性能PC、高速Wi―Fi、中規模以上の会場でも集音可能なマイクスピーカー、高解像度のウェブカメラなどの備品を充実させると良い。施設スタッフが操作に習熟していれば、主催者に安心感をもって利用してもらえる。他施設との差別化が容易となるだけでなく、設備使用料を設定することも可能だろう。

 会議室・宴会場のリニューアルを検討しているならば、将来の1組あたり人数を推測した上で、会場の間取りを見直すと良い。規模縮小が見込まれるならば、大型会場の面積を減らして、中型会場の数を増やすことも検討したい。利用頻度の低い大型会場を温存するよりも、中型会場の利用頻度を向上させる方が売り上げの着実な回復に結びつきやすいだろう。

 (アルファコンサルティング代表取締役)

 
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