【ちょっとよろしいですか 179】温泉むすめ 山崎まゆみ


 第1回温泉むすめサミットが福島県福島市の穴原温泉「吉川屋」で開催されたとニュースで知りました。

 読者の皆さんにはすでにおなじみでしょうが、改めて「温泉むすめ」を説明します。

「温泉むすめ」とは、源泉から生まれた神様がアイドルとして活動するという設定で、温泉地を擬人化したコンテンツです。 

 温泉地の魅力を国内外に発信するキャラクターとして、現在は135人にもなったとか。「温泉むすめ」を利用して、漫画や小説、音楽、ゲームなどクロスメディア展開してきたこともこれだけの広がりを見せた理由でしょう。

 第1回サミットでは、飯坂温泉の「温泉むすめ」の「飯坂真尋ちゃん」をはじめ、44人がパネルになって登場しました。ファンも全国から訪れ、写真撮影をし、限定グッズを購入して、ファン同士の交流も楽しんだそうです。

 個人的には、飯坂温泉の宿の若手経営者が飯坂温泉の認知度向上のために、また特に若い客層に向けて「飯坂真尋ちゃんプロジェクト実行委員会」を設立したころから知っていますので、全国サミットを開催するまでに成長したということが、なんとも喜ばしく、誇らしい気持ちです。

 ただその道のりは、そう簡単ではなかったと聞きます。

 まずは地域住民に理解を求めるために説明会を実施した。等身大パネルを増やし、飯坂真尋ちゃんグッズを作成していく過程で、地域の方々からの理解が得られて、気付けばパネルの設置も容易になり、グッズ開発も進んだ。その結果、仲間が増えていったというのです。

 加えて「温泉むすめ」で盛り上がる他の地域との交流も力になったといいます。

 「温泉むすめ」というコンテンツにより、地域交流を深め、地域づくりができ、さらに地域へのコアなファンを獲得した、願ったりかなったりの事例です。

 これは、ひとえに各地の温泉で取り組む皆さんが「温泉むすめ」が好きであることが大きいと感じます。

 実は跡見学園女子大学の「観光温泉学」の授業に、穴原温泉「吉川屋」の畠正樹さんがお話に来てくださったことがあります。「温泉むすめ」を語る畠さんの語り口も眼差しも愛に満ちていて、それが学生にも伝わっていました。なるほど、「好き」と思えることを突き詰めるのが正着であると感じた瞬間でした。

 そして「推し活」マーケットにうまくはまったことも大きな要因でしょう。

 「推し活」市場の活発な拡大は、今や、周知の事実です。

 「温泉むすめ」は女性ファンもいますが、やはり男性ファンが多いように見受けます。今後、女性が推したくなるキャラクター・コンテンツもできてくるといいですね。地域の女性や宿の女性たち、さらになんといっても女性のお客さんに好かれる男性キャラクターを生み出すのです。

 観光地や温泉地、宿において、応援してくれるお客さまは神様のような存在です。そのお客さんが応援してくれる、いわゆる「推し」とは、「人」や「キャラクター」なのです。

 人は、推す「人」に対して、消費するということをお忘れなきように。

 (温泉エッセイスト)

 
 
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