【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 516】新型肺炎に打ち勝つ戦略6 アルファコンサルティング代表取締役 青木康弘


 前回に引き続き、新型肺炎に打ち勝ち、終息後にさらなる発展を遂げるためのステップを紹介しよう。新型肺炎の流行により観光業は大きな打撃を受けているが、こういう時だからこそ意気消沈することなく、経営改善に向けた取り組みを着実に実行していきたい。流行はいずれ終息する。良いスタートダッシュが切れるよう前向きに準備したい。

 9、休業時でも取り組める施策の実施

 緊急事態宣言が東京など7都府県から全国に拡大されたことに伴い、休業を決める施設が増えてきた。従業員を感染リスクにさらしながら薄利で営業継続するよりも、休業して安全と財務体力の維持を優先した方が良いと判断する経営者が増えてきたことによるものだろう。

 一方で、宿泊客の受け入れを中止して、館に閉じこもってしまうと将来に対する不安が高まりやすい。休業時でも取り組める施策を実施して士気を高めよう。

 旅館・ホテル業にとって、最も取り組みやすいのが、料理やオリジナル商品の通販である。

 フェイスブックやツイッター、自社ホームページ、DM(ダイレクトメール)で告知して、BASE(ベイス)やSTORES(ストアーズ)などネットショップを簡単に始められるオンラインサービスを活用して販売すると良いだろう。クレジットカード決済に対応しているので、代金回収も容易だ。

 自粛要請が長期化する中、消費者も自宅で作る料理に飽きてきていると思われる。宅配便に近況と終息後の来館を促す手紙を同封すれば、広告宣伝にもつながるだろう。

 周辺住民の多い地域ならば料理の宅配もチャレンジしてみよう。家族のお祝いや法事などで特別な料理を準備したいが、飲食店の休業により注文先がなく困っている消費者は少なくない。特に、日帰り宴会が多かった施設は、多くのニーズが期待できるだろう。

 告知手段は、「地名+法事+配達」などをキーワードに入れたリスティング広告、過去の予約台帳を活用したSMS一括送信、近隣エリアへのポスティング広告が考えられる。宅配デリバリー代行サービスは、サービス提供地域が限定される上に、初期費用や販売手数料が高額となるので、自社で宣伝や配達の体制づくりを行うことをお勧めする。

(アルファコンサルティング代表取締役)

 
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