【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 511】新型肺炎に打ち勝つ戦略1 アルファコンサルティング代表取締役 青木康弘


 新型肺炎の流行により観光業は大きな打撃を受けているが、こういう時だからこそ意気消沈することなく、経営改善に向けた取り組みを着実に実行していきたい。流行はいずれ終息する。良いスタートダッシュが切れるよう前向きに準備したい。今回のコラムでは、新型肺炎に打ち勝ち、終息後にさらなる発展を遂げるためのステップを紹介しよう。

 1、資金繰りの安定化

 売り上げが落ち込み、資金繰りの心配が絶えない状況になると、前向きな経営改善策に取り組めなくなる。さまざまな制度融資を活用し十分な現預金を調達しよう。
 伝染病は、地震等の災害のように倒壊した施設・設備・機械などの復旧に多額の資金が必要とはならないが、正常化まで長期間を要することが多い。伝染病の終息まで会社を存続させ、円滑に正常化していくためには、十分な現預金の確保が不可欠である。

 2月の段階では、条件変更(リスケ)などを過去行った会社は融資を断られる場合が多かったが、3月に入ってからは融資の条件が緩和された。一度断られたからといって諦めることなく再度申し込むことをお勧めする。

 2、固定費の削減

 固定費を削減することで、売り上げが減少しても赤字になりにくい財務体質となる。試算表や総勘定元帳の科目明細をチェックして、経費削減できるものがないか検討しよう。検討の対象となる科目は売上原価や業務委託費、消耗品費、リース料、通信費、支払手数料、広告宣伝費、光熱水費、修繕費、保守料などである。

 直接雇用している社員、パート・アルバイトは、雇用調整助成金を活用して休業扱いとし、可能な限り雇用を維持することをお勧めする。低稼働の日が多くなる中、人件費を少しでも削減したいという経営者の考えは合理的であるが、従業員も人である。終息後に協力してくれと依頼しても応じてくれない可能性があることに留意したい。

 3、コストに応じた料金体系

 一部地域では過剰な値引き競争が進み、1泊3千円台まで落ち込んでいるケースがある。宿泊者1人当たりの変動費、固定費を把握し、変動費を下回るような宿泊単価にならないよう気をつけよう。もし、限界利益(売上高から変動費を引いたもの)がゼロに近いならば、休業した方が損失は少ない。

(アルファコンサルティング代表取締役)

 
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