【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 510】業績低下時の対処法7 アルファコンサルティング代表取締役 青木康弘


 前回に引き続き、売り上げ、利益が低下した時の原因究明方法と対策について説明しよう。

 2020年のオリンピックイヤーを商機として、皆さまの旅館・ホテルでもさまざまな集客策を準備していることだろう。一方で、せっかくのチャンスの年にもかかわらず、足下の売り上げや利益が低下してしまっているという悩みも聞くようになった。迅速に対処して業績低下を食い止めよう。

 7、次の一手を打つための充電期間とする

 本シリーズ「業績低下時の対処法」を開始した時点では遠い海外のニュースにすぎなかった新型肺炎の流行が、今では日本をはじめとする世界各国の観光業界を脅かす存在となっている。政府の自粛要請により、ほとんどの施設が大幅な稼働率の低下に見舞われている。休館を余儀なくされている施設も少なくない。

 大変厳しい状況にあるが、政府の財政支援策を積極的に活用し、当面の資金繰りにめどをつけた上で次の一手を打つための充電期間としたい。設備に対する口コミ評価が低い施設ならば、この機会を利用して修繕やリニューアルに取り組むことをお勧めする。休業を伴う改修工事は、通常営業時には取り組みにくいので今は良い機会と言える。

 清掃不良に悩む施設ならば、普段忙しくてできないディープクリーニングや清掃器具の手入れ、リネン庫やバックヤードの整理整頓を行うと良いだろう。稼働率が低いからといって清掃スタッフのシフトを一方的に減らしてしまうと退職やモラールの低下につながり、通常営業に戻ったときに品質低下や人手不足に苦しむことになる。雇用調整助成金などを活用して生活給の保証ができるよう努力しよう。

 低い口コミ評価に悩む施設ならば、自粛ムードの中でも来館してくれる宿泊客を手厚くもてなし、高い口コミ評価がもらえるよう努力しよう。客数が少ないことを逆手に取れば、1組1組のお客さまに丁寧なおもてなしを行うだけの時間とスタッフの余裕があるということである。

 年度末を迎える施設ならば、来年度の目標を抜本的に見直す機会とするのも良い。足元の業績悪化に落胆ばかりしていてはもったいない。今までと異なる顧客ターゲットや集客方法、価格帯、提供サービスへ見直しを図ろう。じっくりと考える時間が得られたと前向きに捉えて、来るべき商機に備えたい。

(アルファコンサルティング代表取締役社長)

 
新聞ご購読のお申し込み

注目のコンテンツ

第37回「にっぽんの温泉100選」発表!(2023年12月18日号発表)

  • 1位草津、2位下呂、3位道後

2023年度「5つ星の宿」発表!(2023年12月18日号発表)

  • 最新の「人気温泉旅館ホテル250選」「5つ星の宿」「5つ星の宿プラチナ」は?

第37回にっぽんの温泉100選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月1日号発表)

  • 「雰囲気」「見所・レジャー&体験」「泉質」「郷土料理・ご当地グルメ」の各カテゴリ別ランキング・ベスト100を発表!

2023 年度人気温泉旅館ホテル250選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月22日号発表)

  • 「料理」「接客」「温泉・浴場」「施設」「雰囲気」のベスト100軒