【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 482】旅・ホの人手不足解消法6 アルファコンサルティング代表取締役 青木康弘


 前回に引き続き、旅館・ホテルの人手不足解消法について紹介しよう。新規有効求人倍率が常に5倍を超えている現在の状況下でも、人材確保に成功している会社は少なからずある。今までのやり方にとらわれずに取り組んでみよう。

 12、競争が激しいセグメントを避ける

 人手不足に陥らないためには、同一エリアで他の旅館・ホテルと似た客層を取り合わないよう注意したい。競争の激しいセグメントで他館からお客さまを奪おうとすると、安い宿泊料金で過剰なサービス、豪華な料理を提供するという戦術を取りがちだ。

 多くの人件費、食材費をかけている割に利益を残すことができないために、リノベーション資金を蓄積できず、建物・設備の老朽化が進みやすくなる。ハードの欠点を補うために、さらに過剰なサービス、豪華な料理を提供して集客するという悪循環につながりやすい。

 薄利多売を続けているとスタッフの待遇改善を行うことができずに離職率が高まり、ますます人手不足に陥ることになる。人手不足を解消する目的でも、他館との直接競争は避けるようにしたい。

 13、人員配置にメリハリをつける

 館内全ての部署でスタッフを充足させようとすると、慢性的な人手不足に悩まされることになる。日々の運営や館全体の収益に影響が出にくい部分は思い切って省人化してみよう。

 例えば、高級路線の小規模旅館で省人化しやすいのはフロントスタッフである。チェックイン・チェックアウトの時間帯のみ人員を手厚く配置し、それ以外の時間帯は売店、ラウンジスタッフと兼任で1人体制にすることを検討してみよう。

 現状の業務量に合わせて必要スタッフ数を決めるのではなく、ワンオペできるように館内のレイアウトや業務手順を根本的に見直すと良いだろう。

 例えば、売店の商品数の絞り込みやキャッシャーの共通化、売店の営業時間の集中化、ラウンジで提供するドリンク類のセルフ無償化などを検討したい。代わりに、夕朝食やアクティビティ、お出迎え、お見送りにスタッフを重点投入して、気持ちと時間に余裕を持ったサービスを行える体制を構築すると良いだろう。

 (アルファコンサルティング代表取締役)

 
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