【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 453】成功する業務マニュアルの作り方8 アルファコンサルティング代表取締役 青木康弘


 前回に引き続き、業務マニュアルを上手に作成するための手順を紹介しよう。作成するに当たって重要となるポイントだけでなく、運用・定着化のコツも紹介したい。

 8、電話応対と言葉遣い

 電話応対は対面の接客よりも優先順位が低いと考えられがちであるが、実際には売り上げに直結する重要な業務である。電話応対の印象が良くないと、せっかくの団体予約や宴会予約、リピートの宿泊予約を逃すことにつながりかねない。業務マニュアルには、電話を受ける際、かける際の留意点、言葉遣いと接客用語の基本をまとめると良い。

 電話を受ける際の留意点は、3コール以内に電話を取ること、館名・名前を名乗ること、相手の団体名・名前を確認すること、必ずメモを取ること、相手よりも先に電話を切らないこと―が挙げられる。館のコンセプトや客層に合わせて基本ルールを決めると良い。

 電話をかける際の留意点は、電話のかけ間違いに注意すること、館名・名前を名乗ること、簡単なあいさつをすること、用件を要領よく話すこと、伝言を頼む時は取り次いだ人の名前を聞くことなどが挙げられる。

 場面に応じた具体的なセリフも例示しよう。丁寧な話し方を心掛けましょうとマニュアルに記述しても、丁寧という言葉の受け止め方はスタッフにより異なる。スタッフによって話し方がバラバラだと、教育が行き届いていない雑な旅館・ホテルという印象を与えてしまう。

 特に、老人会や学生団体などの受け入れが多い館は留意したい。新たな業務マニュアルを作ったら、新人スタッフだけでなく、ベテランスタッフに対してもロールプレイングなどを通じて浸透させよう。

 言葉遣いと接客用語の基本は、さまざまな場面を想定して、尊敬語や丁寧語、謙譲語の使い方を具体的に例示すると良い。基本応対だけでなく、お客さまから苦情を聞く時やお詫びをする時、自分では分からないことを聞く時のセリフなど、とっさに正しい言葉遣いをするのが難しい場面の応対例も記載しておこう。

 特にクレーム応対の場面で正しい言葉遣いができないと、火に油を注ぐことになり悪い口コミを書かれてしまうリスクがあるので注意したい。

(アルファコンサルティング代表取締役)

 
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