【逆境をチャンスにー旅館の再生プラン 413】女性が働きやすい職場4 青木康弘


 前回に引き続き、女性に焦点を当てて、働きやすい旅館・ホテルにするための具体的な対策について紹介しよう。

 長時間労働を是とする旧態依然とした考え方や、独特の労働慣習にとらわれていることが、スタッフの採用や定着化を妨げている。親の介護をきっかけに離職や休職する男性も増えてきている。女性にとって働きやすい旅館・ホテルを目指すことで、男性やシニア、若者にとっても働きたい会社にすることができるだろう。

8、人材マネジメント向上計画を作る

 これまでの人事部門の業務領域は、給与・賃金や残業、社会保険、労災、36協定などの事務が中心であったが、今後はスタッフの衣食住環境・職務環境の改善や求人ブランディング、余暇の充実、ライフサイクルに合わせた独自ルールの策定などが求められてくるだろう。

 世間の仕事に対する価値観の変化を敏感に察知し、自館の古い考え方やルールを見直していくことが大切だ。

 このような取り組みは人事部単独では難しい。経営者の理解と強い意志、他部門との連携、予算の確保が必要となる。そこで「人材マネジメント向上計画(HR計画)」の策定をお勧めしたい。

 HR計画を作ること自体は簡単だ。給与・賃金や残業、賞与、有給休暇、育児・介護、パワハラ・セクハラ防止、衣食住、職務環境、研修制度といった項目を書き出し、それぞれについて業界平均・地域相場の調査結果、自社の現状・問題点をまとめた上で、今後3カ年の施策内容と予算を整理するのである。

 例えば、有給取得日数について社内平均を調査した結果、業界平均より劣ると判明したが、人材確保を有利に進めるため、3年後の有給消化率を80%以上に大幅アップする目標を定めたと仮定しよう。

 1年目は、有給優先取得日(取得を推奨する日)の設定を行い、2年目に年間有給カレンダーの設定を行うと良いだろう。3年後には、女性にとって働きやすい職場になるだけでなく、人材採用も有利に進めることができるだろう。

(アルファコンサルティング代表取締役)

 
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