【訪日ラボの目線 インバウンド市場を読み解く 4】東京観光の2泊3日ツアー、タイでたった「3万円」の衝撃


 タイからのインバウンドが盛り上がりを見せている。日本政府観光局(JNTO)の発表によれば、2018年8月のタイ人の訪日旅行者数は4万7500人で前年比31.3%増となった。13年にビザが緩和されたことやLCCの増便などに加え、親日感情が後押しして空前の訪日旅行ブームが続いている。

 JNTOなどによる継続的なプロモーションも功を奏した。現在では、バンコクなどの都市部だけではなく、地方都市でも広がりを見せており、例えば今年8月14~23日には、タイ東北部にあるザ・モール・ショッピングセンター コラート店で「THE MALL SHOPPING CENTER JAPAN DISCOVERY 2018」が開催された。日本映画の上映会や日本食ビュッフェレストランに行列ができるなど、地方部にもかかわらず大変な盛り上がりを見せた。

 このようにタイでは、都市部だけでなく、地方部でも日本食や日本文化に触れる機会が増えてきており、全土的に訪日旅行への関心がますます高まっている。さらに、その需要に応えるように、旅行会社もこぞって日本行きの旅行商品の開発に力を入れている。

 商品開発の競争が激しくなれば、必然的に価格破壊も始まる。例えば、弾丸東京旅行2泊3日のパッケージツアーが日本円にして3万円以下で販売され始めた。一方で、タイでも人気の高い北海道ツアーは内容を充実させ、高価格帯で販売されるケースが多い。札幌雪祭りを存分に楽しむ4泊6日のパッケージツアーは約23万円で販売されており、ニーズの多様化もうかがえる。

 タイ人の平均年収は、日本円にして140万円と言われている。日本が420万円ほどであることを考えると、3万円の東京ツアーの実質的経済負担は、日本人にとってのおよそ9万円程度ということになるだろう。とはいえ、この費用感であれば、訪日旅行は「金持ちだけのもの」ではなくなり、一般家庭にも十分身近なものとなりつつあるのは間違いない。

 したがって、今後、タイ市場向けプロモーションやインバウンド対策をする際には、ターゲティングを中流層まで広げることが“外さない”ために必要になってくる。

 
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